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~地域とともに生きる~
わかやま新報2017年11月2日掲載

イタリア トリエステ
トレント研修報告


サポートセンター「麦の郷」川村 ゆり

 6月14日(水)、麦の郷人権委員会主催で「イタリア トリエステトレント研修報告」を法人内でさせていただきました。イタリアは精神保健の進んだ国、精神科病院をなくし地域で精神障害者の治療やリハビリを行い、改革していった国です。
 改革の理念や人権の観点から報告させていただきました。研修報告で伝えたいことは五つです。

 ①イタリアの精神保健と歴史について②日本とイタリアの精神保健の違いとは③比較から見える日本とは④どうすれば入院中心の精神保健が地域生活中心の精神保健に進むのか⑤哲学——です。

 なぜイタリアに行くことになったのか、そのきっかけや、ベースとなっている活動について説明します。2008年に県下のある市で不幸な事件が起こりました。通所していた作業所職員を含め、私たちに何ができたのだろうか、と自問自答しました。そんな中、精神障害者がいる家族への対面調査を行い、家族の思いを明らかにしていこうという取り組みを始めました。その活動がきっかけで「家族依存から社会的支援へ向けて進める会」(通称「進める会」)が発足しました。そこで私も活動しています。
 しかし、同じような事件が県下の他の市でも発生しました。不幸にして加害者となった家族が自身の思いを語り、私たちはその語りを聞いてきました。そして、進める会でシンポジウムを開催しました。その時に先進地イタリアを日本に紹介している有名なジャーナリスト大熊一夫さんが、シンポジウムを聞きに来てくださり、家族会の方や支援者をイタリア研修に誘ってくださいました。
 2017年1月14日から23日までトリエステ、トレントの町を視察しました。イタリアの精神保健福祉の改革は何から始まったのか? ①バザーリア法(世界初の精神科病院廃絶法)ができたこと②病院内でアッセンブレア(議論)をしたこと③精神保健福祉センターができたこと——が改革を進めた大きなことであると言っていました。しかし一番改革を進める上で大事なことは「哲学」であると力説されていました。イタリアでは「精神科病院に入院すると、地域で培っていたその人の人間関係のネットワークが分断されてしまう。そのことが、本人の治療にとってとても良くないことである」ということに気が付いたことだと。ですから、入院ではなく、地域でそのままネットワークを断ち切らず、治療を行えるようシステムを作っていったのです。
 当然精神科病院は解体され、なくなりましたのでそれに代わるものが必要です。それが精神保健福祉センター、SPDC(総合病院内における診断と治療のための精神科部門)、社会的協同組合だったのです。トレントではこの精神保健福祉に加えて、当事者家族の活動を前面に押し出して精神保健福祉のシステムを作っていました。
 これらのイタリアの取り組みを学び、比べて日本の国とは…を感じ、そこから私たちはこの課題に対してどう取り組んでいくのか、改革に必要な哲学とは、を考えました。
 報告で皆さんに十分お伝えできたかどうか分かりませんが、これからも課題に対して活動を続け、皆さんと一緒に取り組んでいきたいと思います。


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