ほっとけやん

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~地域とともに生きる~
わかやま新報2018年6月7日掲載


農福連携の話

はぐるま共同作業所の杜 大中 一

 ゴールデンウイークを過ぎる頃、私たちはぐるま共同作業所和の杜ではフルーツゼリー製造が一気に忙しくなります。特にかんきつ王国和歌山県のみかんの果汁と果肉をふんだんに使用した「みかんゼリー」は県内県外問わず一番の人気商品で製造が追い付かなくなることもしばしばです。
 しかしながら、このかんきつ王国和歌山県のみかん事情に大きく変化が生じてきています。「みかんゼリーの原材料になる果汁が不足していて提供できない」「この先みかん果汁の提供量を減量せざるを得ない」と果汁の加工メーカーは頭を下げるのです。原因はみかん農家さんの減少に伴う果汁加工用のみかんの穫量の減少でした。
 ここ最近「ノウフク」や「農福連携」というキーワードがよく目に留まります。読んで字のごとく農業と福祉の連携を表す活動のことです。
 数年前から農林水産省と厚生労働省がタッグを組んで「農業分野のマンパワー減退に障害分野のマンパワーを有効に活かし双方にメリットのある環境づくりを進めていこう」という取り組みが全国規模でスタートしました。前述しました和歌山県のみかん農家さんのように高齢化によりみかん農園を継続していくことが困難になる事例は決して和歌山県だけの事情ではなく、全国的な動きとして深刻な農業分野の問題となっているのです。
 一方で、障害者(特に知的障害や精神障害の方々)の就労事情は5カ年の「工賃倍増計画」の成果が顕著に表れたとは言い難い状況で障害分野の現場は障害者の「働く場の保障」と「賃金の保障」に日々頭を悩ませています。
 農と福がお互いの悩みや弱みを補い合えるよう取り組みがスタートしてほどなく全国農福連携推進協議会が発足し、また行政も都道府県レベルの農福連携ネットワークづくりを進めるなど農と福の距離はどんどん近づきつつあります。全国で開催されている「ノウフクマルシェ」や「ノウフクセミナー」は農福連携の活動の最も身近な取り組みとして定着してきています。
 実のところ麦の郷では十数年前からすでに農業分野との連携は始まっていました。実際に農業そのものに取り組む事業所は農作物作りのノウハウを身に付け障害者と共に土にまみれて活動しています。また、農産加工に取り組む事業所では農家さんたちと同じ目線に立って農家さんが手塩にかけて育てた農作物が主役になる製品づくりで和歌山の「農」を応援しようと頑張っています。
 にわかに盛り上がり出した「農福連携」。本当に実のある連携となっていくにはまだ時間は随分とかかるでしょうし、「農・福」お互いの理解ももっともっと必要だと思います。今後「農福連携」を大きく進めていく中で麦の郷の役割はさらに重要になっていくことでしょう。

写真は去年の京都でのノウフクマルシェ



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