ほっとけやん

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~地域とともに生きる~
わかやま新報2018年8月2日掲載


精神疾病の夜明けに向けて

和歌山県精神保健福祉家族会連合会 
副会長 大畠 信雄

大阪府寝屋川市、兵庫県三田市の事件
 2017年12月大阪府寝屋川市で両親が娘を20年間にわたり自宅で監禁虐待死させる事件発生。今年4月に兵庫県三田市で父親が息子を自宅内で檻をつくり監禁虐待事件が相次いで発生しました。この事件などは現代版座敷牢であり、100年前と変わらない実状に苦しい、つらい衝撃を受けました。
 これらの事件に共通するのは、精神疾病者を持つ家族と社会がタブー視してきた歪の結果生じた事件だと感じています。
 精神障害者を持つ多くの家族は、「誰にも知られたくない」という恥ずかしさが勝り、周囲への誰にも相談をためらい、相談できず、精神障害者を隠し続けます。また「外に出すと何が起きるか分からない」、と自宅に閉じ込める家族もたくさん潜在していると思います。それは八方塞がりになるだけで、何も解決しません。
 社会で家族、本人を支える仕組みをつくり浮き彫りにして、行政、医療、福祉、関係機関などとの連携強化が必要です。

東海道新幹線車内の殺傷事件
 ことし6月に東海道新幹線車内で乗客が無差別に刺され、男女3人がけがをし、そのうち男性1人が死亡するという社会を震撼させる事件が発生しました。
 小島容疑者は、精神科病院に入院していた過去を持つという報道に複雑な心境になりました。
 この事件を知った、家族や本人は、小島容疑者と同じように精神疾患者は社会の悪だと劣等感を持ってしまうのではと心配しています。
 小島容疑者は、親と決別し誰にも理解されない中で、夢を失い、鬱屈が社会に向いてしまったのだとしたら、われわれ周囲が何かできることがあったのではという思いが、地域の住民に芽生える社会に向けた活動が大切だと痛感しています。

誰もが罹り得る精神疾患に
 犯罪を犯す可能性が高いという偏見で特定の人々を監視し、隔離するような社会が到来したら、精神を病む多くの人々が該当してしまいます。それは本人や家族をますます追い詰め、最悪の事態へと向かわせるだけだと思います。
 ますます増え続けている精神疾病は、誰にもかかり得るもので、「ひとごと」から「わがこと」と思える社会に向け、精神疾病を市民が正しく理解してもらえるように活動していかねばと痛感しています。
 100年前、呉秀三の「わが国十何万の精神病者は、実にこの病を受けた不幸のほかに、この国に生まれた不幸が重なるというべし」と言った言葉が過去のこととなる日が本当の精神病者とその家族の夜明けだと思います。


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