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~地域とともに生きる~
わかやま新報2018年9月6日掲載


事業所「叶夢向(かなた)」スタート

施設長 辻岡 敦子

 和歌山市出島、田井ノ瀬橋近くにある就労継続支援B型事業所の「叶夢向」。
 叶夢向は、社会福祉法人一麦会の数ある作業所の一つから独立した事業所で、この4月から新たにスタートを切りました。その作業部屋からは、裁断機の音と定番のAMラジオ放送の音がいつも鳴り響いています。
 もともと事業所としては30年以上の歴史があります。事業内容は「工業用ウエス」の製造と販売です。「ウエス」とは工場等にある大型機械のメンテナンスに使う、オイルなどを拭き取るための使い捨ての布のことです。工場の他に自動車会社や塗料関係、印刷業関係などの会社からの定期的な注文があります。
 その製品となる布地の取り扱い品目はたくさんあり、Tシャツなどのメリヤス生地、タオル生地、シーツ生地、綿素材のもの、合成繊維のものとさまざまです。定番の「白ウエス」「黒ウエス」「二色ウエス」を始め、通常15〜20種類のウエス製造に日々取り組んでいます。
 利用者の人数は現在22名。年齢層は23歳から70歳までと、かなりの幅があります。作業の主体はもちろん彼ら「なかま」たち。ウエス製造に携わって20年以上の人もいて、作業が滞ることなく進められるよう配慮をしてくれます。
 作業工程は①布地の裁断②同じ布を一まとめにして計量③梱包④出荷となります。また最初から布地の状態でない古着を加工する色メリヤスウエスの製造は、古着の塊150㌔を仕入れ、布類1枚1枚のボタン、ファスナー、帽子、ゴム、ひもなどをはさみを使って取り除き、それを布地だけの状態にしてから裁断という流れになり、ウエスの形になるまで、かなりの人の手が加えられています。全てが手作業。一日中、所定の場所で担当している作業に取り組む毎日です。集中力を切らさず作業を続けることは、特に最初は大変です。黙々と仕事をする人、会話を楽しみながらも、手はしっかりと仕事を続けている人、他のフロアの進み具合を気にして様子を見に行き、度々助っ人に行く人、作業への取り組み方はさまざまですが、みんな社会人としての仕事への意識をしっかりと持っており、その継続して作業に取り組み続ける姿勢は「THE職人」。どうして働くのか。「生活が懸かっているから働く」「給料を稼いで、前々からの目的の物を買いたい」「お給料もらったら、家族とご飯を食べに行ったり、貯めて旅行したりしたい」など、その目的意識もさまざま。でも個々にその目的をきちんと持っているからこそ、また明日への働く力につながっているように感じます。人はそれぞれ、楽しみ、希望、夢を持ち日々の生活を送っています。なかまたちの夢、願いに向かって進んでいきたいという思いを大切に、これからも皆でしっかりと仕事に取り組んでいきたいと思います。
(※私たちは障害のある人たちを「なかま」と呼んでいます。)



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