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~地域とともに生きる~
わかやま新報2019年4月4日掲載


障害者就労事業所で働く障害者の工賃向上をめざして

一般社団法人和歌山県セルプセンター 理事 
山添 高道

 障害者の多くが働く就労支援事業所(B型)(以下作業所という)の平均月額工賃は1万6565円(2017年度)です。障害基礎年金(月額6万4941円)と合わせ約8万円での生活は厳しいと言わざるを得ません。また、障害の度合いや作業所の取り組みによってはさらに低い工賃が予想されます。
 こういった現状から13年4月に「障害者就労施設からの物品等の調達に関する法律」が施行され、今後、地方公共団体や独立法人等が調達方針の策定、公表、実施、調達実績の取りまとめ・公表が責務となりました。
 私たち一般社団法人和歌山県セルプセンターは、施行された「優先調達推進法」の受け皿として和歌山県共同受注窓口の機能も果たすべく14年12月に設立されました。
 また、18年8月から和歌山県チャレンジド工賃水準倍増事業の委託を受け和歌山県下の作業所で働く障害者の工賃向上に向けてさまざまな取り組みを行っています。
 ①農福連携…農家の高齢化・人手不足の解消を図るべく、作業所からの取り組みが始まっています。ミカン園の栽培を任されたH作業所は、栽培面積が徐々に増え現在5㌶になっています。ミカンの取引も順調で、平均工賃が3万円を超えています。
 上富田町のH作業所は、切り干し大根を製造し栽培から加工、販売まで行っています。自前の畑では生産が追い付かず、和歌山県下の作業所に大根栽培を呼び掛けています。呼び掛けに応えて大根栽培に取り組む事業所が増えています。
 ②6次産業化支援…作業所で直接農業に携わるのは困難な面がありますが、農家の生産物を使って商品化する取り組みが広がっています。パンやお菓子の製造を行っている事業所では、地元の農産品を使ってマドレーヌやバウムクーヘンなどに利用し、売り上げを伸ばしています。果樹王国和歌山ならではの商品が今後増えてくるものと期待しています。
 ③コーディネート事業…作業所で高工賃を目指しているが、なかなかうまくいかなくて困っている――という事業所に対し相談支援を行っています。
 ④アルカリ洗剤であるセスキの自主商品の開発…今後、この商品の販売を多くの事業所に委託し、この売り上げのもうけは、各事業所に分配していきます。すでに3事業所で取り組みが始まっています。
 ⑤公官需や民需の掘り起こし…作業所につないでいきたいと考えています。特に人手不足で困っている企業などで仕事の切り出しを考えていただき、作業所でできる仕事とのマッチングを図っていきたいと考えています。
 そのお仕事を作業所に持ってくる方法と、企業の方に出向いて仕事を行う施設外就労というやり方もあります。ぜひ一声掛けてください。私たちの願いは、障害があっても地域の中で一人の市民として生活できるよう、特に経済面からの支援を今後も続けていきたいと考えています。


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