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~地域とともに生きる~
わかやま新報2009年2月5日掲載

国連採択の障害者権利条約とは
麦の郷紀の川・岩出生活支援センター 山田綾

 麦の郷紀の川・岩出生活支援センターでは、同じ那賀地域の障害福祉関係者が実行委員となり、12月3日から9日の障害者週間にちなんだ「広がれネットワーク」というイベントを毎年行っています。イベントでは、障害種別、障害程度を問わず、乳幼児期から高齢期までの障害のあるすべての人たちが豊かな生活を送ることを目指し、学習会や交流会などを行っています。
 取り組みの中で、最終日には「障害者権利条約と障害者の労働」をテーマに学習しました。障害者権利条約は2006年に国連総会で採択され、2008年に批准国が20カ国に達したため発効しました。
 どこか自分とは関係ないものと思えてしまいますが「権利」を考える上で日本の法律にとても大きな影響があるのです。日本はまだ批准(最終的に同意を表明すること)していませんが、批准した場合、憲法と一般法との中間に位置し、条約の趣旨に沿う形で法律を改定する義務が生じます。重要な点は、全ての障害者施策のベースに障害者の権利を位置づけていることと、障害の有無にかかわらず、すべての人の権利保障に貢献するということです。現在の日本の障害者施策では、権利が十分保障されているとはいえません。働く権利についての考えても、例えば一般企業での障害者の法定雇用率は達成されたことがないことや、福祉的就労の場である作業所の工賃は、運営の厳しさからそれだけで生計を維持することはできない低水準であることなどです。
 権利条約は、社会的環境を整え障害による不便を解消する「合理的配慮」の必要性をうたい、「それがなされないということは差別にあたる」と明文化し、積極的に障害にもとづく差別を無くす考え方をとっています。日本の状況はというと、日本語の正文はなく日本政府の訳が出ていますが、障害の定義をはじめさまざまな権利について、正文との違い、今の法律ありきの限定的な解釈にとどまっているため、課題はたくさんあるといえます。
 権利条約発効という世界情勢は、私たちにとってあらためて自分の持つ権利を知り、適切に守られるように積極的に行動できること、そしてすべての人が暮らしやすい社会を実現するための大きな一歩であるといえます。私たちはしっかり学習し、多くの仲間と共に手をつなぎ、権利を豊にするための声を上げていかなければならないのだと思います。

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