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~地域とともに生きる~
わかやま新報2009年5月14日掲載

障害の理解が大きく横に広がる!!
~仲間へ手づくり自助具の贈呈式~
くろしお作業所 城 喜貴

 2008年12月の「くろしお作業所仲間のクリスマス会」にて、近畿大学生物理工学部 知能システム工学科マイクロシステム研究室加藤暢宏助教授ゼミ3名の学生さんから、仲間へ手づくり自助具の贈呈式が行われました。  この活動が始まったのは同年1月でした。加藤助教授から、研究課題として仲間の日常生活に寄り添い、様々な技術工学を使って自助具(運動機能に障害のある方が、自力で日常生活動作を行えるように工夫して作られた器具)を研究・製作し、贈呈したいという熱心なご依頼を受け、1年間の活動が始まりました。 今まで障害を持つ方と接したことのない彼らは、とまどいの中で日々が過ぎていきましたが、数ヶ月後のある日、一つのきっかけで仲間の願いと学生さんの専門的な知識が強く結びあうことが出来たのです。  重度の肢体障害を持ち、正確な発語が難く文字盤を使って話をするチアキさんとの出会いでした。チアキさんは恥ずかしがり屋で、身近な人以外の方とはあまり話をしてくれないのですが、文字盤で話をしていた彼女の姿を見た学生さんの一人が「パソコンにつなぐことができますよ」と言ってくれました。その瞬間、チアキさんの目が輝きました。彼女には同じ障害を持ち、パソコンで新聞を作っている友人がいます。彼女にとってその友人は憧れの人でした。「友人と同じようにパソコンを使いたい」という願いを学生さんに打ち明けたのです。  その頃から学生さんと仲間の会話も自然に増え、仲間の食事や外出の手伝いもできるようになりました。こうした積み重ねが次第に作業所へ来ることが学生さんの楽しみとなり、仲間も学生さんが来る日を待ち遠しく感じるようになりました。研究も更に進むようになりました。  12月、ついにパソコン連動の文字盤が完成しました。そして2名の仲間にも音声の出る文字盤と腕の力が弱くても特別樹脂製のグリップがついたスプーンも出来上がりました。  贈呈式には加藤助教授も来られて盛大に行われました。約70名の職員・仲間の見守る中、チアキさんが苦労に苦労を重ねた学生さんをねぎらい何度も「ありがとう」を繰り返していました。気持ちが一つになれた感動的な瞬間でした。 今回の研究に引き続き、今年度も新しい3名の学生さんが自助具の研究のため、くろしお作業所の活動に参加してくれています。仲間たちの理解者が、この機会を通じて大きく横に広がったことが最大の成果であったと思います。

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