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ほっとけやん43

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~地域とともに生きる~
わかやま新報2010年12月2日掲載

「ヘルパー研修から人権を学ぶ」
麦の郷 紀の川・岩出生活支援センター 野中孝夫

 麦の郷では2005年度より和歌山県からチャレンジド就労サポート事業の一つとして「知的障害者ホームヘルパー養成研修委託事業」の委託を受けヘルパー研修を開催してきました。これまで研修を修了された方はのべ67名にもなります。例年10名前後の人数で研修をしていましたが、年々受講を希望される方が増え、今年度は19名が受講することになりました。受講生には、特別支援学校の3年生や作業所で働く人、すでに介護の現場で働く人と様々で、就職活動の一環として、また3級の資格を持ち働いている方が職務内容の幅を広げるためのステップアップとして研修を受講されています。
 この2級養成研修は知的に障害をもたれている方を対象としていますが、講義時間や授業の内容は一般の方と変わりはありません。まずは「ヘルパーってどんな仕事?」といった基本的なことを知ることから、「介護技術の実技演習」や「介護事例の検討」といった専門的な講義を幅広く学びます。講師の先生方にはわかりやすいように授業内容を工夫していただき、「高齢者の気持ち」や「ヘルパーとしての心構え」、「法律や制度」などを、受講生の身近な問題に置き換えて講義していただいています。また、ヘルパー資格を持たれている方などに支援者として受講生のサポートをお願いして、受講生に寄り添いながらサポートしていただいています。
 私がこの研修で彼らと共に学ぶ中で、『自分を大切にする=他者も大切にする』という『人権』について学んでもらいたいと思うような出来事がありました。それは、長い講義期間の中で、何度か受講生同士のトラブルがあったからです。誰か一人だけの問題を言っているのではなく、集団の中で起こった問題を一人一人が向き合う課題として認識してもらいたかったのです。何度も受講生と話し合いそれぞれが問題と向き合う中で、人と関わる中で、『お互いの価値観や権利を認め、尊重し合うことが何より大切である』ということ、その事がヘルパーとして、一人の大人としてもっとも重要であるということをこの経験を通して学んでくれたのではないかと思っています。
 障害のある人が地域で暮らすための大きな課題のひとつが就労ですが、このヘルパー養成講座が障害のある人の就労につながるための大きな一歩になるとともに、社会の一員としてお互いを認め合い社会で生活するための成長できる場となるような関わりを今後ともしていかなければと思いました。

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