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~地域とともに生きる~
わかやま新報2011年7月7日掲載

「こころの健康政策を国の基本政策に!~わかやまからも声をあげる~」
一麦会(麦の郷) 紀の川・岩出生活支援センター 中原 力哉

 国民のおよそ40人に1人(年間320万人)が精神疾患で精神科を受診、うつ病は100万人超え年間自殺者は12年連続3万人を超え先進諸国で最大、これが我が国の実態です。精神疾患は、癌と脳血管・循環器疾患とならぶ三大疾患のトップです。国民のこころの健康問題は危機的状況におちいっています。また、こころの健康問題は精神疾患として認められるだけでなく、虐待、DV(ドメスティックバイオレンス)、アルコール依存症、薬物依存など緊急の社会問題という形で現れています。ストレスの多い、現代社会において精神疾患はだれにでもおこりうる病気です。
 こうした問題は日本だけではありません。WHO(世界保健機関)が使用している疾患の政策的重要度の指標(DALY)では、トップが精神疾患です。つまり、先進諸国の中でこころの健康問題は、共通の社会的課題なのです。問題は、こうした国家的課題に対し国や政府が優先して取り組んでいるか否かです。気分障害(うつ病・躁うつ病)の受診患者数がわずか6年間で2倍以上に増加している日本の実態からすれば、国の姿勢が容易に推測できます。
 欧米より大幅に遅れた政策の象徴が医療です。医療法では「精神科医療には医師数が他の医療の1/3でよい」という特例があります。こうした低水準のシステムから常に人手不足の状態となり病名や治療法の充分な説明がなく、3分診療といった言葉までうまれてしまっています。国の法律・医療制度が精神疾患への差別を推奨してきたといっても過言ではありません。
 このような状況を一刻も早く改善すべきと考えている当事者・家族・精神保健医療福祉関係者の有志が集まり、こころの健康政策構想会議を立ち上げ「こころの健康の保持及び増進のための精神疾患対策基本法(仮称)」の制定を求めて2010年4月から100万人署名に取り組んでいます。精神保健医療改革を求めて、当事者・家族・精神保健医療福祉関係者が一緒に請願署名に行うのは、戦後初めてであり画期的なことです。
 当初は、2011年3月下旬に全国一斉街頭署名を予定していましたが、東日本大震災のため実施未定のまま延期となっていました。大震災から3ヶ月あまりが過ぎ、復興へと動きだした中で浮き彫りとなってきたのは「からだの健康」と「こころの健康」を守る保健・医療・福祉でした。被災者の生活の回復と被災地の復興支援を考えた時に、こころの健康は復興の基礎となるものとの結論から、こころの健康を守る基本法を今こそ求めようと6月25日(土)に全国一斉の街頭署名を実施しました。
 県内では、6団体(和歌山県精神障害者団体連合会、和歌山県精神医学ソーシャルワーカー協会、日本精神科看護技術協会和歌山県支部、和歌山県医療労働組合連合会、和歌山県精神保健福祉家族会連合会、和歌山県共同作業所連絡会)の代表が呼びかけ人となり、紀北、紀南の地域に分れ市民へ訴えました。猛暑の中、「こころの健康基本法を求める署名にご協力をお願いします!」の声に沢山の方が足をとめ署名にご協力していただきました。県内全体、約40人の参加で300筆の請願署名があつまり、こころの健康に対する問題が多くの市民の方と共感できたことを実感しました。
 県内でもこうした当事者・家族・精神保健医療福祉関係者の各団体が呼びかけて合同で取り組みをするのは初めてのことであり、和歌山県の精神保健福祉運動の歴史的な一日となりました。この署名運動を契機に今後、和歌山の当事者・家族・精神保健医療福祉関係者が立場を越え、集い、日本にうまれて良かったと思える日の実現を目指していきたいです。同質の協力は和にしかならないが、異質の協力は積になる!

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