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~地域とともに生きる~
わかやま新報2011年12月1日掲載

創ろう、みんなの障害者総合福祉法を! ― 後編 ―
きょうされん全国理事 鈴木栄作

 障がい者制度改革推進会議及び総合福祉部会がまとめた「障害者総合福祉法」の骨格に関する提言(以下、骨格提言)は、9月26日推進会議、藤井克徳議長代理より蓮舫担当大臣に手渡されました。手渡す際に藤井議長代理は「55人のメンバーが昨年の7月27日から18回の会議を重ね、佐藤久夫部会長のもとで懸命に議論した121ページの本文、この本文にはいろんな思いが込められており、万感を込めて手渡させていただきます」と説明されました。今後は、来年の通常国会に向けて厚労省が法案を作成し上程、審議される予定ですが、骨格提言に沿った内容が法案に盛り込まれるか否かがとても重要です。
 骨格提言は、障害者総合福祉法の6つのポイントとして「障害のない市民との平等と公平」「谷間や空白の解消」「格差の是正」「放置できない社会問題の解決」「本人のニーズにあった支援サービス」「安定した予算の確保」を掲げています。
 骨格提言の本文第1章では、(1)法の理念・目的・範囲では、障害の有無によって分け隔てられない共生社会を実現するため、障害者が保護の対象から権利の主体への転換と医学モデルから社会モデルへの障害概念の転換。
 (2)障害(者)の範囲では、谷間を生まない包括的規定として慢性疾患に伴う機能障害など支援を必要としているすべての人への対象の拡大。
 (3)選択と決定(支給決定)では、支援を必要とする人が望む暮らしを最大限尊重し申請から決定までわかりやすい仕組み。
 (4)支援(サービス体系)では、全国共通の仕組みで提供される支援と地域の実情に応じて提供される支援で構成され、障害者本人が主体となって地域生活が可能となる支援体系の構築。
 (5)地域移行では、国が社会的入院や入所を解消するために地域移行を促進することを法に明記。
 (6)地域生活の資源整備では、事業者や人材不足などを改善する計画的な推進のため地域基盤整備10カ年戦略策定の法定化。
 (7)利用者負担では、障害を伴う必要な支援は原則無償とするが、高額な収入のある者には応能負担。
 (8)相談支援では、対象は障害者と支援の可能性のある者及びその家族とし、障害者の抱える問題全体に対応する包括的支援を継続的に調整。
 (9)権利擁護では、権利擁護が支援を希望又は利用する障害者の申請から相談・利用・不服申立てのすべてに対応し、虐待の防止と早期発見を促進。
 (10)報酬と人材確保では、福祉従事者が誇りと展望をもてるよう適切な資金が支払える水準の報酬の確保。と、以上10項目の提言がまとめられています。
 この骨格提言の内容は決して夢物語ではありません。これまで私たちが積み上げてきた実践や運動の集大成であると思います。今後の障害者施策の大きな羅針盤となるものと確信しています。障害のある者や支援を必要としている者が特別な権利を求めているのではありません。他の者との平等、障害の有無に関係なくノーマルに地域での当たり前な暮らしを求めています。藤井議長代理は、「障害者を閉め出す社会は弱くてもろい」と講演でよく話されます。骨格提言の内容が多くの国民に認知され、提言通りのすばらしい「障害者総合福祉法」の成立が、障害のある者や弱い者が生きやすい社会、すなわち誰もが生きやすい社会につながる大きな一歩となるのではないのでしょうか。

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