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~地域とともに生きる~
わかやま新報2015年2月5日掲載

古民家舞台のまちづくり
粉河とんまか雛通り実行委員会世話人 池田 香弥

 紀の川市粉河、JR粉河駅前に大正時代に建てられた築百年の古民家山﨑邸があります。
ここは今、福祉とまちづくりの拠点として大勢の人々が訪れるにぎやかな空間になりました。
 敷地面積1600㎡に2階建ての母屋と蔵が2棟あり、大広間の折上げ格天井や1階と2階に傘天井があるなど豪華な造りになっています。訪れた人々はみな驚きます。住む人がいなくなり、更地になる運命だったこの山﨑邸を救ったのは、地元住民と社会福祉法人一麦会・麦の郷とのつながりでした。
 2007年に全国共同作業所連絡会(きょうされん)の30周年記念映画として「麦の郷」が取り上げられ、主な撮影地として粉河が選ばれました。その際、住民たちは200名ものエキストラを自ら集め、炊き出しにも協力し、映画をともに作り上げてきました。
 その時のつながりがいよいよ山﨑邸が更地になるという窮地に復活し、なんとかこの歴史的な建物を残したいという住民の声を受けて一麦会が所有者とかけあい、福祉とまちづくりの拠点として活用するという約束で借り受けることができました。
 2013年夏、まずはひきこもり青年たちの中間的就労の場としての創(はじめ)カフェがスタートし、耐震と雨漏り箇所の改修とトイレ工事に5カ月をかけて、去年5月末に再オープンしました。青年たちは木・金・土の3日間、厨房で生き生きと働き、元気になった青年から一般就労していっています。
 また、前の蔵を改修して知的障害や精神障害の仲間が働く共同作業所「ポングリ図画耕作所」が開所し、絵画や刺しゅうなどの作品を販売したり、時にはちんどん楽団として山﨑邸のイベントPRに繰り出したりしています。これまでにはなかったユニークな福祉の拠点が誕生しました。
 また、去年6月からは紀の川福祉コミュニティ農園が運営する毎週1回のふれあい寺子屋も開講し、粉河の魅力を地元の方とともに学んだり、耕作放棄地を開墾した農園で子どもたちや住民と交流する体験を行ってきました。
 加えて「NPO紀州粉河まちづくり塾」や「粉河高校KOKO塾」「紀の川福祉コミュニティ農園」「麦の郷」の4団体が情報を共有し、応援しあう組織「粉河の底力つなげ隊」が誕生、福祉とまちづくりがつながる土台ができあがりました。
 この会議の席上、出てきたのが「粉河らしい雛めぐり行事で町を元気にしたい」という声でした。寂れる一方の粉河を再び活気のある街にしたい、かつて映画づくりに参画した女性たちが動き始めました。実行委員長は炊き出しを担当した旅館の女将が引き受けました。歴史ある建物をはじめ商店街にお雛さんをいっぱい飾って雛色に染め、粉河の魅力を存分に味わってもらおうという「粉河とんまか雛通り」は2月23日から3月31日まで開かれます。「絵手紙コンクール」入賞作品の展示や、「紀の川雛流し」見学、食べ歩きと雛色歴史散歩「ブラブラ散歩」など早春の粉河を満喫してもらおうと、住民たちは今、おもてなしの準備におおわらわです。

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