どの子も健やかに育つように

「こじか園」は、就学前の発達につまづきのある子どもが通う施設です。無認可で発足した85年当時、乳幼児検診で障害があると診断されても通う施設がありませんでした。そこで、障害児の母親らが集まり、障害があっても健やかに育つことのできる場をつくろうという運動が始まりました。97年、認可の知的障害児通園施設としてスタートしました。
現在31人の子どもが週5日通い、さまざまな行事を経験して過ごしています。朝は園内の庭で体をたくさん使い、保育士や友達とのふれあいの中で、「もっとこれがしたい」などと意欲的に遊びます。その後は、さまざまな集団で散歩や料理、お絵描き、リズム遊びなどを楽しみます。発達状況は違いますが、毎日友達とかかわることで、笑顔いっぱいに育ちます。
うまくできない自分に気づいたり、もう一度やりたい気持ちを膨らませるには、楽しいことばかりではいけません。やりたくないことでも、社会のルールとして必要なことは、少しずつ働きかけ、確実な力になるように取り組んでいます。楽しさの中、力をつけていく工夫が必要です。
家族支援も大切にしています。月に1回、制度を学んだり、先輩お母さんの話を聞く学習会があります。保護者同士、子育てに共感していく中で、他の子どもたちの盛況も喜び合える親に育つのです。父親の会もあり、行事ごとにお父さん同士集まったり、日曜参観をしたりしています。
2年前から障害者自立支援法が適用され、療育を受ける権利は選択するサービスに位置づけられました。今後、すべての子どもたちの健やかに発達する権利を守るために、制度を変えていく運動を進めたいと考えています。

(社会福祉法人一麦会知的障害児通園施設こじか園職員、浦上武士)