障害者福祉をこえて
障害者メーデー参加を
10月10日下旬、東京日比谷公園の森に障害者の声がとどろきました。1万人の大合唱「私たち抜きに私たちのことをきめないで!」で、障害のある人たちが毎年10月末に東京に集結しています。障害者自立支援法が国会で成立した05年10月31日をメモリアルデーにして全国から集うという取り組みで、政府に施策の改善を求め続けました。障害の重い人ほど自己負担が増える応益負担制度の撤回を求め、障害者71人が国に起こした裁判も、新しい福祉法を作る約束で和解しました。和歌山から車いすに乗って大集会に参加した大谷真之さんは午前中、衆議院議員会館に県選出の国会議員を訪ねました。共同作業所連絡会の要望を手渡し、福祉サービスが一律に制限される現制度を、必要に応じて受けることができる制度へ変えてほしいと訴えました。大谷さんは障害者自立支援法違憲訴訟の元原告です。全身障害があり、現在独り暮らしをしているので日常生活に介護は欠かせません。自立支援法施行後、介護時間数が減らされました。障害者権利条約は障害の有無にかかわらずどこに誰と住むかの自己決定を権利として保障しています。そのために社会的支援を国は保障しなければならない。このことを求めて障害当事者と関係者らが1万人デモ行進を毎年いているのです。日比谷公園といえば、首都のど真ん中、08年12月31日には「年越し派遣村」が出現し、政府は対応を迫られました。貧困問題、そして障害者問題、この国の福祉の貧困を想像します。大谷さんのように車椅子を使って全国から集まった仲間たちを先頭に、国会方面と東京駅方面の二つに分かれての大デモンストレーションする中で、私は日本の障害者運動の画期と痛感していました。障害当事者自身が権利の主体としての自覚的行動を起こすとき新しい福祉社会を切り開くことを確信しているからです。そして私はこの10月末こそ障害者のメーデーにふさわしいのではと思うのです。人々の表情から悲壮感は消え、1年ぶりの再会にむしろ元気をもらいにやってくる、そのためにっきっとお金をためてきたのだろうなあ、公園には屋台が出て、そこかしこで演説もあり、署名活動があり、歌声も。これはまさに祭典です。参加者が社会の主人公として生きているなあと実感してしまいました。全国の皆さん、今年も要求をもって障害者メーデーに結集しましょう。
(麦の郷就業生活支援センター、加藤直人)