ほっとけやん 第224話
わかやま新報2025年11月6日掲載
施設開設から30年を迎えた「ひまわり園」
社会福祉法人桃郷 松木栄子
私は25年間保健師として公務に就いてきました。保健師業務は住民の方たちの疾病予防と健康の保持増進に努めるという公衆衛生の一翼を担い互いに幸せを求めあうという業務です。私はこの仕事の中でたくさんの人たちとの出会いがあり、「幸せってどんなこと?」「人間の価値」「人を愛する」という事等々を学びました。25年間の保健師活動を通して障害児の世界に飛び込み30余年間を振り返り、生きる力としてこれからも歩んでいくことにしました。
今回、原稿依頼を頂いた「ほっとけやん〜地域と共に生きる〜」。まさに、社会福祉法人・桃郷「ひまわり園」はこのタイトルの通りです。たくさんの人の「ほっとけやんみんなの願い」が結集して、そして運動となり誕生した「発達につまずきを持つ子どもたちの通園施設」です。園では学童期前(2〜6歳)の子どもたちを保護者分離して、週5日間、毎日登園でお友達と一緒に遊んで食べてぐっすりお昼寝、すっきり排泄と当たり前のごく普通の生活を楽しみながら無理なく身に付けていきます。四季折々の行事も子どもと保護者と職員そして地域の方々とで楽しみあい子どもの成長を喜びあっています。そして地域の福祉力の高まりも同時に楽しみあっています。「ほっとけやんみんなの願い」って何?それは、生きる事を互いに楽しみあいたい・人と人との繋がりを楽しいものにしていきたいという思いを沸き上がらせたのではないかと・・・。おせっかいおばさんと歩んだひまわり園30年の集大成をまとめるにあたっての想いでもあるのです。
保健師として公務の仕事に就いていた私です。1977年乳幼児健診の法改正があり、発達という視点での健診内容で取り組みが始まりました。それは一人一人の子どもの成長と発達を丸ごととらえての健診でした。私たちはこの健診手法でたくさんの事を学びました。
発達につまずきを持つ子どもの保護者の気持ちに寄り添い、障害児教育や障害者の生活に係る人たちや地域の方々と学びを共にして早期療育への受け皿づくりの運動を展開しました。知的障害児専門療育施設として障害児通園施設「ひまわり園」はこうして生まれ、子どもたちの発達保障として、いやいや、地域や行政にとってもなくてはならない大切な場所となっています。もちろん、療育という名での保育では、子どもの育ちを権利としてとらえて集団の中での生活に必要な力を無理なく楽しいというおまけ付きで丁寧にかかわっていく事です。乳幼児期は二度となく、身も心も含めて人生の土台が創られていく大切な時期です。一人一人の子どものつまずきを理解し、生活環境を提供することによって子どもたちが豊かに内面のふくらみを得ていく事が出来ていきます。
誰に頼まれたことでもなく保健師であった私のおせっかいにたくさんの方々の賛同の力を頂き、今は子どもたちの大好きな場所・保護者の方々には不安なく安心して子育ての楽しめる場所・地域の方たちには一緒に楽しめる場所となっている通園施設です。発達保障としての取り組み、これは、〜みんなが自分に合った幸せを感じ得る事と、生きるって素晴らしい事だねを感じあえる事〜かなと、おせっかいを評価しています。
ひまわり園の生活を経験された仲間たちは今、立派に社会参加し青年期人生を謳歌しています。
今年7月に出版させていただいた「おせっかいおばさんと歩んだひまわり園・人生楽しかったよ」を、ご一読いただければ幸せです。またひまわり園にぜひ見学にお越しください。そして園児たちと生活のひとときを楽しんでください。お待ちしています。
(問い合わせ先)
社会福祉法人桃郷 和歌山県紀の川市桃山町調月58番地の3
TEL:0736・66・8851
FAX:0736・667・8851