放課後を豊かに過ごす

長い間、障害のある学齢期の子どもたちは放課後、家に帰ると家の中で過ごすことがほとんどでした。出かける場合も家族と一緒でした。そのため母親は就労することもままならず、家族の負担は大きいものでした。
03年4月、社会福祉基礎構造改革で支援費制度が導入されてから、県内では児童デイサービス事業が急増しました。多くの子どもたちがこの事業を利用するようになりました。県内には現在49事業所が登録され、全国で6番目に多い数です。
麦の郷の児童デイサービス事業「ぽけっと」も、障害のある子どもが仲間と共に放課後を豊に過ごすところです。家でもない学校でもない第三の場所。そこで仲間や周りの人々とかかわりながらいろいろなことを身につけたり学んだりします。集団で活動することで「待つ」ことを覚え、自制心が育ちます。違う年齢の子どもが一緒に過ごし、上級生が下級生の世話をして誇らしい自分を発見することもあります。
また「ぽけっと」の子どもたちは、公園や図書館などいろいろな施設を利用する中で、地域の子どもたちとも交わり、社会のルールを学びます。周りの人にも障害児のことを理解してもらったりします。「ぽけっと」のような放課後支援事業は他の福祉サービスと共に、保護者、特に母親の急速や数量を保障する役割も担っています。
しかし、06年の障害者自立支援法施行で放課後型の児童デイサービス事業は報酬単価が大幅に減少し、障害児施設再編成までの経過措置と位置づけられ、市町村の日中一時支援事業に移行されようとしています。公費の裏付けが非常に不十分で、子どもの成長・発達への支援という支店が希薄です。
子どもたちが安心して仲間と共に豊かな放課後を過ごすことができるような制度作りへ、運動を進めていきたいと思っています。

(社会福祉法人一麦会麦の郷児童デイサービス事業「ぽけっと」職員、原真知子)