ほっとけやん 第4話

わかやま新報2007年9月1日掲載

まず一歩の大切さ

麦の郷理事長 田中秀樹

ことしの5月、岩出市相谷(紀泉台入り口)に「カフェぷちこすもす」(共同作業所ぷち・こすもす)がオープンしました。和歌山市内にあるコスモス養護学校に子どもたちが通う家族が中心になって、2年間の準備期間を経て開所しました。地域の方の応援もあり、今、多くの人が訪れてくださっています。
しかし、その一歩を踏み出すには、多くの支えを得ながらも関係者の大きな勇気が必要でした。まず一歩の大切さは計り知れません。障害をもつ人が利用する作業所は全国に6000ヵ所を越えています。多くは「ぷちこすもす」のような小さな規模の作業所ですが、利用する人は数万人および、それはまさに「小さな巨人」でもあります。
共同作業所は、遅れている成人期の障害者施策に相対して自主的につくられてきましたが、いくつかの大切な意義を見出すことができます。重度の障害をもつ人が安心して通い、仲間とともに成長できる場であり、同じ悩みをもつ家族の支えあう場でもあります。卒業後の進路や支援に悩む関係者を励ます存在ともなります。
共同作業所には多くの人の支援が寄せられ、そのことが温かい心で支えあう地域づくりにつながるとともに、地域で困難に直面している人たちの支援に広がる「地域福祉」の拠点になる可能性が生まれてきます。
共同作業所は地域に学校をつくるということによく似ています。今ある多くの学校は子どもたちの成長を願って、地元の人が土地や私財、労力を出し合って創り、育ててきました。障害をもつ人の支援から始まる共同作業所は、地域の福祉を担うことによって地域への貢献ができます。
学校が教育を充実させ「地域になくてはならないもの」になったように、共同作業所を育てることは地域福祉を充実させることにつながっていきます。共同作業所とともに地域を作る活動に皆さんも参加しませんか。