ほっとけやん 第9話

わかやま新報2008年2月7日掲載

地域生活支援とネットワーク

和歌山生活支援センター 川村 ゆり

「障害をもつ人が人らしく生きていきたい」。
そんな当たり前の願いに共感し、「障害を持つ人が地域で生活することや働くことを実現し、彼らが豊かな生活をおくれる地域にしたい」という「願い」を持って、和歌山生活支援センターは平成9年、和歌山市三沢町に開所しました。
「働きたいけど不安がある」「年金や福祉制度がよく分からない」「今の住まいに問題がある」「自炊が苦手」「友達がほしい」などの、地域で生活する障害者・家族への相談に乗り、支援活動を行い、そのために関係機関とのネットワークづくりを進めています。
いろいろな団体とネットワークしていますが、その中の1つである精神保健福祉の関連機関との連携では、医療や保健、福祉、行政などの関連機関が集まり、勉強しあう精神保健福祉業務連絡会というものがあります。私もここに参加させていただき他職種の方と少しずつ、つながりが出来てきています。
また、ホームヘルプ事業所の協議会活動も、大切なネットワークの1つです。障害者自立支援法による給付費の削減、算定時間のカットなどにより事業所運営の厳しさが増し、各事業所は障害を持つ人へ責任を持って支援を続けていくことができない状況になりつつあります。このような厳しい状況を明らかにするためにアンケート実態調査に取り組んでいます。
でもネットワークしていく上で、いったい自分たちが何のためにネットワークうしているのか見失うことが時々あります。私たち福祉職員がどんなにがんばってもよくならない、かえって悪くなっていまう、そんな状況になりつつあるという現実があります。
さらに現場では多職種で連携をとっているがゆえに、自分たちがもう1歩踏み込んで支援をしていたら…と思うことが今までに何度かありました。しかし精神保健福祉業務連絡会で連携を深めていくうちに、ネットワークの目的である「願い」を相手の機関の方に伝えていくことが出来るようになりました。
連携とは問題を共有するだけではなく、同じ目的に向かって、よりよい支援をしていけるようにすることだと思います。
大切なのは、ネットワークの目的である「願い」をぶれないようにしっかり持つこと。いくつかのネットワークの活動が複合的に組み合わさって地域がつながっていくのを信じること。私たちの活動が地域福祉に「役立つ」ように考えていくこと。苦境に立たされたときこそ多くの仲間たちや関係団体と連携し、豊かな相互方向の活動を生み出していくこと。
これらのことを心に刻んで、多くの仲間たちと一緒に新たな一歩を踏み出していきたいと思います。