ほっとけやん 第29話

わかやま新報2009年10月1日掲載

「いつもありがとうございます」

社会福祉法人一麦会 髙山 和子

和歌山市北東部に位置する山口地域には、社会福祉法人一麦会が実施する「くろしお作業所分場」「ぽけっと(学童クラブ)」「こじか園(知的障害児通園施設)」の施設・事業所があります。この山口地域は和泉山脈を境に大阪と隣接し、古くは紀州徳川家の山口御殿のあったところとして知られています。ゆったりとしたのどかな土地柄が、ハンディのある子どもも大人も、ゆったりとした気持ちにさせてくれる・・・そんな地域です。
「こじか園」がこの地に越して早や十三年目。ゆったりと温かな地域の皆さんに見守られ、助けて頂いてきた月日でした。特に、園舎建設から開園に至るまでの、山口地域社会福祉協議会(前会長山口芳次氏 前々会長鎌田憲治氏)皆さんの力強いご支援は、けして忘れることができません。開園を祝って植えてくださった桜も、季節には見事な花を咲かせてくれます。
その後も地域の皆さんには、第1回こじか夏祭りの舞台に農作業用トラックを準備いただいたのをはじめ、会場の設営に知恵を拝借し、看板作りに一筆、盆踊りやゲスト出演と何から何まで・・・、後片付けまで心配してくださいました。何よりもうれしいのは、今年で12回を迎えたこのこじか夏祭りを、地域の皆さんが楽しみにしてくださって、その準備から手をかしてくださることです。 幼い子どもの施設があることを常に気にかけてくださり、農作業の帰りや散歩の道すがら、バイクで用事の途中にかけて頂く一言が、厳しい福祉現場に身をおく私たちにはうれしく元気の源になります。また、春から夏にかけては地域の有志やちびっ子が、草刈に汗を流してくれたりします。「しあわせな園だなあ・・。」と思います。
障害に対する偏見は悲しい現実としてあります。でも、出会い・知り合い・時間・空間を共にする、あたりまえのくらしの中で、人は人としての関係作りをしていきます。そうしたことを丸ごと受け止めてくださる地域が身近にあることに感謝しつつ、障害を持つ幼い子どもに、ゆったりと温かな地域皆さんの心の種を、わけていただいています。
『強くおおきく育ちますように!』