ほっとけやん 第47話
わかやま新報2011年4月7日掲載
訪韓調査 いざ出陣!
ソーシャルファームピネル 田村 知己
2月21日月曜日、総勢12名がソウルに向けて出発しました。前週14日の月曜日は大雪で大混乱でしたが、この日は寒さを感じないほどのすごしやすい気温で、暑さ大好き寒さ大嫌い、の私にとっては非常にありがたい出張となりました。ただ、同行した顔ぶれが…。大学教授3名、准教授1名、院生、一麦会理事長等。スゲー緊張感が…。さらに出発前にいただいた行程表を見て分刻みにびっしりと詰まった4日間。ガーン!しかし、私自身の成長のため勉強をするんだという思いが勝ちました。4日間体調をこわさず、居眠りもせず(?)さまざまな参考になる知識を身につけて、一回り大きくなって帰ってきたぞ!…って言えるかな?
前置きが長すぎてもとも思うので本題に入りますが、今回の訪韓調査は韓国の社会的企業の意義、組織形態、目的等を視察し、学ぶことが目的でした。この社会的企業とは、脆弱階層に社会サービス又は就労を提供し、地域社会に貢献することによって、地域住民の生活の質を高めるなどの社会的目的を追求しながら、財貨及びサービスの生産販売など営業活動を遂行する企業として認証を受けたもののことです。その組織形態は、法人、組合、商法上の会社、社会福祉法人や公益法人等の非営利民間団体がそれであります。
その目的は主に4種類あり、まず就労提供型は全体の勤労者のうち脆弱階層の利用者比率が50%以上としています。社会サービス提供型は、全体のサービス利用者のうち脆弱階層の利用者比率が50%以上としています。混合型は、雇用比率、利用者比率のそれぞれが30%以上としています。そして、その他型として社会的目的実現の当否が雇用比率、利用者比率で判断するのが困難な場合に社会的企業育成委員会で決定されるものもあります。この社会的企業の制度でいう脆弱階層とは、社会的企業育成法で次のa~eの定義に基づいた者のことを言います。a)世帯月平均所得が全世帯月平均の100分の60以下の者 b)55歳以上の高齢者 c)障害者 d)性売買被害者 e)その他 長期失業者など労働部長官が就業状況などを考慮して脆弱階層と認定した者。
そういったことをふまえて、トンチョン帽子、幸福ナムル財団、九老地区自活センター、ソウルグリーントラスト、陽川区の数社を訪問してきました。その中でやはり私自身が常に意識してみていたのは、脆弱階層の中の障害を持った方々でした。トンチョン帽子で働いていた障害を持った方の生き生きとした顔が非常に印象に残っています。また、陽川区には脱地者が生活できるために取り組んでいた作業所もありました。
今回の各社の訪問によって私自身が学んだことは、社会的企業とは、安心、安全、信用を得たブランド企業である、ということでした。トンチョン帽子の社長が「品質と納期を重要視している」とおっしゃっていましたが、これは着任以来13年私自身、ソーシャルファームピネルのクリーニングにおいて最も重要視し、こだわっていたことであります。「一般企業と比べてスピード、生産量は勝てなくてもいい。ただ品質だけは負けるな!仕上がりが良かったらいずれ花開くときがくるから」と常々言いながら支援してきました。障害を持った方への対応はもちろん、私のしてきたことが決して間違ってはなかったのかなって思えてきて、正直ホッとしたところもありました。
終わりに、この韓国の社会的企業のあり方等、今回学んできたことを参考に、日本の障害者施策のおかしさを追求し、日々の行動に反映させていきたいと思っています。