ほっとけやん 第66話
わかやま新報2012年11月1日掲載
「そのまんまジュース」
はぐるま共同作業所 ラ・テール 浦口裕成
ラ・テールでは、パン(米粉・小麦)、わらび餅、パウンドケーキ、豆腐、おかき、ジャム、ジュースなど、約10種類75品目の商品を、障害のある仲間たちが自信と誇りを持って作ってくれています。
当初はパン以外の製品は手作りが多かったのですが、製造の効率性・安定性はもとより、何より仲間のみんなが難しい機械を操作し、使いこなしている姿が「格好よく!」その職人さんを増やすために機械化を図っていると言っても過言ではありません。
そしてご多分に漏れず、ジャム作りも手作りで小さな銅鍋の前で何時間も汗びっしょりになりながら、あくを取る根気の要る作業でした。
そこでジャム作りも機械化することとなり、昨年機械を日本財団で助成していただきました。
そして、購入しました機械は、パルパーフィニシャー・蒸気二重釜・充填(じゅうてん)機です。その中でもパルパーフィニシャーという聞き慣れない機械は大きな裏ごし機で、これがまた優れものでありまして、イチゴを葉の付いたまま機械に投入しますと葉と種は分離され、果肉はピューレ状になって出てくるのです。初めての試作の時は感動して全員で歓声を上げたほどです。
導入してからは作業効率、安定性は飛躍的に向上し、そして、いろいろなものを面白がって裏ごししているうちに「ジュースは作れないか?」「和歌山には素晴らしい素材がたくさんあるし」と盛り上がっていきジュースを製造するに至りました。
今は、トマトジュースとみかんジュースを製造しています。トマトジュースは海南市と有田川町のこだわり農家さんのハウス物のトマトで程よい酸味と甘味があり、加工用ではなく生食用を搾っています。もちろんトマト本来の味を生かすために、何も加えず、何も足さずの100%です。
みかんジュースは冷凍工場で「冷凍みかん」として加工されるものの規格外品を手で搾っています。もちろん、有田川町産です。冷凍したみかんは解凍して機械で搾ると「えぐみ」「苦味」が出て商品になりません。
ラ・テールでは全て手搾りです。冷凍みかんの時だけは裏ごし機はお休みです。一度にコンテナ17ケース340キロを10人で苦にもせず、元気に黙々と手で搾ってくれます。
仲間の仕事力には感服です。これからもいろいろな和歌山の果実をたくさん搾る予定です。
和歌山の「人」「物」100%の「そのまんまジュース」をご賞味ください。