ほっとけやん 第68話

わかやま新報2013年1月10日掲載

私の一品ご自慢展 広がれネット 障害者週間・広がれネットワーク

広がれアートプロジェクト実行委員会 舩木栄子

「アートは表現です。表現の自由は私たちに与えられた権利です。どの作品も素晴らしい。この場所は和やかな空間となり私たちの気持ちを癒してくれる。本物のアートはこれなのです。作者も観覧者も企画者もみんながみんなで楽しめるものなのです」―。現場でのミニ講演、岡崎由美子先生のお話の一部です。
全くお話の通り。絵画、陶芸、織布、組み紐、生け花、合同作品、まだまだたくさんの作品の展示がありましたが、どれをとっても素直でまろやかで吸い込まれていきました。
ある作業所で働く仲間は、絵を描くことを心の支えとし、自分で楽しめる時間を充実させています。メモ用紙や広告の裏を利用した100枚以上の完成品があります。
「丸で表現される顔はいずれも楽しい限りのもので、拝見すると思わずほほ笑みが出てきて気分が楽になります。周りに楽しさを与える絵画です」
ふと漏らした施設作業員のつぶやきが、広がれネットワークの取り組みとなりました。作業所で働く仲間や施設入所者の余暇活動、発達につまずきを持つ子どもたちの描画活動や文化活動等をアートとして見つめ、その素晴らしい表現の価値を認め合い共有し、そして豊かな生活への発達保障にしていく取り組みになりました。
100人近い観衆の前で、自分の作品をアピールも添えて自分で紹介し、紀の川市長と親しく激励の握手を交わし…終えた時の大きなため息と笑顔。参加者全員の表情が幸せに満ちたものでした。
本当に、全くのオリジナルのご自慢の一品です。誰にでもある素晴らしい才能を、互いに評価し合い、人生の豊かさにし、そして価値ある自分を見つめていける文化につなげていきたいものです。
「広がれネットワーク」はことしで12年目を迎え、障害者週間に合わせて地域の皆さんと毎年さまざまな活動でつながりを深めてきています。アートの取り組みはことしで2年目、また新たな豊かさで地域に活力を産み出しつつあります。