ほっとけやん 第78話

わかやま新報2013年11月7日掲載

きょうされん第36回全国大会IN東北・ふくしまに参加して

はぐるま共同作業所 山本 直子

9月21日、22日と、きょうされん第36回全国大会が福島県郡山市で開催され参加してきました。大震災と津波、そして原発事故から2年半を経て、私は初めて震災後の福島を訪れました。仙台空港から一路、福島県南相馬市へ。ほんの一部でしたが、目の前に飛び込んできた風景があまりにも衝撃的で頭の中から離れません。草原の中にぽつんと立っている自販機、そこにはかつて住宅街があったのだろうと思うと涙が止まりませんでした。さらに、私たちは、津波の被害をうけた地域から南へ車を走らせました。まっすぐ行くと浪江町と書かれた標識が見えたところに立ち入り禁止区域があり、何人かの警官が立っていました。私たちは、何とも言えない気持ちのまま引き返しました。
書ききれないほどの、今なお復興が思うように進んでいない場面にたくさん出あいました。このようなことが、今なお増え続けている震災関連死のさまざまなストレスの原因であり、引き金になっているのではないかと思いました。時間が経ち、将来を描けなくなり絶望的な気持ちになってしまう人たちもたくさんいて、本当の意味での復興まで、まだまだ時間が必要であるように思いました。
きょうされん福島大会には、少しでもこの地域の人たちの力になればという思いから大会に駆け付けた1200名の障害者を含む2400名が参加しました。さらに大会を支えた要員・ボランティアは900名。東北地域の全てのきょうされん支部の人が準備に携わったなど、画期的な大会でした。
オープニングでは、東北6県の障害のある仲間たちによる「3・11あの時わたしたちは」の構成詩の朗読、高校生による鎮魂の思いを込めたじゃんがら念仏踊りや奇跡のピアノによるコンサートなどさまざまな企画を見ていて、本当に胸がいっぱいになりました。前向きに奮闘している多くの人達に励まされながら生活を築こうと頑張っている人達と、復興の先が見えなくなっている人達のさまざまな思いが重なり合っているこの地域に訪れて、原発事故の深刻な実態と生きるために奮闘する障害のある人や関係者の取り組みから、私たちは何ができるのであろう、私たちの町に震災が来た時にどうしていけばいいのだろうと大きなたくさんの宿題をいただいて帰ってきました。大震災などの極限の事態が生じたときに、日ごろ潜んでいた問題が表面化してきます。だからこそ、誰もが安心して、安全に暮らしていける住みやすい街にしていくことの大切さをあらためて感じました。