ほっとけやん 第80話

わかやま新報2014年1月9日掲載

夢に向かって頑張れ!

ソーシャルファームピネル 山本 哲士

去る12月5日、麦の郷本部が所在する地域の西和佐小学校6年生が麦の郷にやってきました。これは毎年恒例になっていて、もう10年を越えました。
まずはクリーニング工場、パン工場等の見学。すでに19回実施されている「西和佐地区・麦の郷夏祭り」には遊びにきてくれた子ども達も障害を持っている人たちが仕事をしている姿を見るのは初めてですので、実際目で見ることで色んなことを感じてくれたと思います。
次に画家であり、重度身体障害者でもある宮崎幸子さんとの対談。宮崎さんは脳性マヒのために身体の自由がきかず、わずかに動く薬指と小指で筆をはさみ、絵を描かれます。今回は作品を自宅からもってきてもらいました。その絵を描くのに数カ月をかけ、身体的にとても厳しい作業なのですが、完成したときに宮崎さんは絵に「ありがとう」と…。宮崎さんが子どもの頃は重度障害者は学校に通う権利をはく奪されていました。友だちもなく、ずっと在宅だった彼女は絵を描くことで初めて友達ができたと感じたのだと。だから「ありがとう」の言葉が出るのだと教えてくれました。そして宮崎さんは子ども達に「将来の夢は何?」と問いかけ、子ども達も大工やスポーツ選手、花屋さん等々発表してくれ、「夢に向かって頑張って!!」とエールを送られました。最後に一人ずつ宮崎さんと握手をしてお別れでしたが、子ども達それぞれに勇気がわいたのではと感じました。
障害があるなしに関わらず、生きていくにはいろんな苦難を乗り越えていかなければなりません。今回の見学・対談が子ども達の心のバネになってくれることを願っています。
先日子ども達から宮崎さんへのお礼の色紙が届きました。そこに書かれていたのは「夢に向かって頑張ります」という力強い言葉でした。