ほっとけやん 第86話

わかやま新報2014年7月3日掲載

障害を持つ方が働く印刷事業所だからこそ

麦の郷印刷 森 貴孝

『麦の郷印刷は印刷事業を通じ、障害者・若者・高齢者の社会参加を応援することをモットーに地域社会におおいにアピールし、存在感ある事業所になれるように取り組みます。』を理念に掲げ、障害を持つ方の就労を支援しています。障害を持つ方が働き、なおかつ少しでも多くの給料を持って帰ることが出来るように、日々、印刷業務に励んでいます。
10年ほど前に点字プリンターの存在を知ったのをきっかけに、一般的な印刷だけではなく、障害を持つ方が働いている就労支援施設だからこそ、視覚での情報を得にくい方にも利用していただける、情報のバリヤフリー化を目指す取り組みを始めました。
情報のバリヤフリー化は点字印刷以外にも、色覚障害がある方のための配色の工夫や、弱視の方や高齢者の方にも読みやすいUDF(ユニバーサルデザインフォント)という書体を使用したMUD(メディアユニバーサルデザイン)の活用、SPコードという文字情報を音声化する機能を添付した印刷物の作成等を行っています。
点字印刷としては、前回の衆議院議員選挙の公報や参議院議員選挙の氏名掲示の点字版等の作成、また今年度からは『県民の友』『県議会だより』の点字版の作成もさせていただいています。これらの点訳作業は、点訳サークル「みちしるべ」の皆さんのお手伝いや助言をいただきながら進めています。
昨年4月より障害者優先調達推進法がスタートし、和歌山県の関係部署の方からも「地元和歌山の事業所で、できれば障害を持つ方を雇用する施設に発注したい」と声をかけていただき大変有難く思っております。行政・私共のような福祉事業所・民間の団体・地域の方々、それぞれができることの繋りが、障害を持つ方の所得になり、情報を得る手段となって、もっと未来に夢が描けるようなることが私共の夢でもあります。
これからは、高齢者も増え、これまでの印刷の形態では伝わりにくいことがたくさん出てくると思われます。そのためにも、使う方の立場に立った物作りを常に意識し、また視覚に障害のある方への理解を深めながら、少しでも暮らしやすくなるようなお手伝いをしていきたいと思います。
今後も、私共の取り組みを積極的に地域に発信し、多く方々に知っていただき、麦の郷印刷を利用していただけるように頑張ってまいりますので、応援いただきますよう宜しくお願いいたします。