ほっとけやん 第105話
わかやま新報2016年2月4日掲載
「描き」「つくり」「踊り」「奏でる」を仕事に
就労継続支援B型事業所「Po-zkk」(ポズック)誕生!!
施設長 野中 康寛
障害のある仲間と「一風変わった仕事おこしはできないだろうか」「内職的作業・やらされる仕事からの脱却はできないか」「なにか面白いことできないか」とおぼろげに考えていたとき、共に相談支援を行う同僚の一人が、「この絵、素敵だと思わない?何かになればと思って、とって置いているんです」と…それは、チラシの裏に無造作に描かれた「ネコ」のような動物の絵でした。サインペンを使いひと筆で描かれた、なんだかホッと心が和み癒される、何とも表現できないかわいらしい作品でした。
その絵を眺めていると、ゆったりとした時間の流れの中で仲間たちの才能を開花させ、そして「描く」「つくる」「踊る」「奏でる」仕事にできる、そんな場所が必要ではないかという思いが芽生えました。
そんな時、私たちの思いは、アーティスト奥野亮平との出会いから加速度をつけて現実化していき、人、作品、感性、才能との多くの出会いからPo-zkkが誕生しました。
Po-zkkの名前の由来は、スワヒリ語でゆっくりという意味の「ポレポレ」と「ズック靴」を組み合わせてできた言葉(造語)で、「ゆっくりとその人に合わせたペースで歩もう」といった思いが込められています。
Po-zkkの主な仕事は、「こころと身体を充電する島」を中心に「創作の島」、絵、イラスト、だるまづくり、刺繍、木工などをデザインしかばん、Tシャツ、ブローチ、バッジ、ポストカード、一筆箋などを商品化する島と商品をさまざまなイベントで販売する「出店・販売の島」、そして、「パフォーマンス・ちんどんの島(Po-zkkちんどん楽団)」という4つの島から構成されています。
ちんどん衣装を身にまとった「Po-zkkちんどん楽団」は、商店街の練り歩き、お祝いの席、祭り、保育所・児童施設、作業所、学校などで興行(公演)を行っています。
舞台公演では、カンカンカンと拍子木と始まりのしの笛が鳴り響き、声色を変え何人もの役になり演じる人、音楽・効果音を奏でる人、踊り歌い盛り上げる人、淡々とナレーションを行う人、それぞれの得意なことを伸ばし補いながら創り上げ「てんぐり山」という完全オリジナルの奏楽紙芝居を行います。
それぞれの歩みで、心と体の声に耳を傾けながら日々を過ごし、みんなの夢や思いをどこまでも膨らませていきたいと思います。Po-zkkは、「ひと×表現×まち×アート×描く×ちんどん×映像×縫う×だるま×つくる×踊る×めぐる」をかけ合わせ、「ひと」と「こころ」と「地域」を結び付けたいと思います。そして、私たちは、余暇としての芸術・創作ではなく、「描く」「つくる」「踊る」「表現する」ことを仕事にするTotal Work of Art Groupを目指し、「豊かさ」を共に創り出す活動を繰り広げていきたいと思います。ぜひ、皆さま方からの公演依頼をお待ちしておりますので、末永く見守っていただければと思います。よろしくお願いいたします。