ほっとけやん 第109話

わかやま新報2016年6月2日掲載

六つの点で繋がる想い「六星舎」

六星舎 中屋 久司

視覚に障がいのある方の働く場といえば、三療(あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師)ですが、この道に進めない方もおられ、一般就労か作業所や施設での就労・入所、もしくは在宅となっています。また、視覚障がいについての理解は現在でも進んでいるとは言いきれません。作業所や施設であっても、介助の仕方次第では障がいを軽減できます。活動にもできることが広がりますが、なかなか理解されず入所を断られるケースも今だにあると聞きます。一般就労に関してはもっと難しい問題があります。視覚障がい枠を持った事業所もありますが、そこには空きがなくほぼ入ることができていない状況です。

そこで、視覚障がいに特化した相談支援事業、就労移行支援事業、就労継続支援事業を行おうと、2年ほど前より他府県の施設を見学したりしながら計画をしてきました。全ての事業を最初から行うには体制が難しいこともありできませんでしたが、最初に就労支援B型事業所を開設し、皆さんの意見を聞きながら今後の事業運営に生かしていこうと考えています。視覚障がいの方は県下全域におられ通所機能しかない施設では限界がありますが、視覚に障がいがなくても通所できる地域におられる他の障がいの方も利用できるようにしようと、点字印刷を含めた作業所「六星舎」を「麦の郷」の中に設置し4月開所の運びとなりました。まだまだ利用者は6名と少ない人数ですが、視覚障がい部門、他の障がい部門とに分かれ、時には一緒に活動しています。

現在視覚障がいの部門では、点訳・校正に携わり、さをり織りや編み物にも挑戦しています。将来的にはもっと点字関係の仕事を増やし、視覚障がい者でも可能な軽作業も増やしていければと考えています。その他の障がい部門でも、事務作業や軽作業を中心に行っていますが、これからは清掃作業や空き家の管理清掃なども手掛けていければと考えています。