ほっとけやん 第114話

わかやま新報2016年11月3日掲載

子ども・若者が地域に包み込まれ一人の人間として安心して暮らし、発達できるために

わかやま子ども・若者の貧困問題を考えるネットワーク会議発足

麦の郷障害者リハビリテーション研究所 山本 耕平

2013年6月、子どもの貧困対策の推進に関する法律が施行されました。翌2014年には、「子供の貧困対策に関する大綱」が閣議決定されました。この法律や大綱では、「子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る」ことや「全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指し、子供の貧困対策を総合的に推進する」ことが重視されています。しかし、子ども・若者の生活をめぐる事実には、深刻なものがあります。

私たちは、子ども・若者の貧困と向き合うために緩やかなネットワークを和歌山のあちこちに築くことを目指しています。ネットワークの発会式には、医療福祉機関のトップの方、1歳前のハイハイを始めた赤ちゃんを連れたお母さんも、学校の先生になって2年目の方も、来年退職する小学校の先生も、さまざまな方が、職業上の鎧を脱いで参加されました。

そこで、私たちの子どもや孫のこと、さらにこの社会のことを共に考える仲間として歩むことを確認しました。私たちは「仲間がいるから楽しい。仲間と一緒に、子ども・若者のために歩めるからうれしい」と、その思いを確認し合ったのです。

緩やかなネットワークですから、何にも縛られません。自由な発想の下で、体力のある人は体力を、お金に余裕のある人はお金を、ヒントをいっぱい持っている人はヒントを出し合うことの必要性を確認し合いながら歩んでいます。和歌山の子ども・若者の暮らしと発達に関する実態について話し合い、子ども・若者から危機の訴えがあったとき、適切に対応する(今後、危機電話の常設を考える)システムについて検討し、医療・司法・福祉・教育の実践者が参加した和歌山の子ども・若者の貧困に関する提言を行える力をつけていきたいと考えています。

私たちは、子ども・若者の暮らしが守られ、豊かな発達が保障されるために和歌山で皆さんと共に考え行動したいと思います。皆さん、和歌山が大切にしてきました地域での育ち合いの風土を共に育てませんか。ネットワークへの参加は、会議への参加はもちろんのこと、フェイスブックへの意見の書き込みなど、さまざまな方法があります。皆さんのご参加をお待ちします。子育て、地域育ての風土を育て上げるネットワークの事務局は麦の郷障害者地域リハビリテーション研究所にあります。

*原則2カ月ごとにネットワーク会議・学習会を開催しております。ご関心のある方は、社会福祉法人一麦会麦の郷障害者リハビリテーション研究所(TEL073・474・2466)まで。