ほっとけやん 第122話

わかやま新報2017年7月6日掲載

子どもたちの豊かな発達を

こじか園 園長 尾﨑 由加子

児童発達支援センター「こじか園」は本年度で認可施設となり21年目を迎えました。1984年に当時和歌山市で発達相談員をされていた相談員が発達検査をして障害を発見し、母親に宣告をしても、母親たちを苦しみに落とし入れるだけだという現状と母親たちの悲痛な叫びを全国障害者問題研究会和歌山支部に投げ掛けたことがきっかけとなり「子ども達の豊かな発達を支える会」ができたのが始まりです。月に2回の土曜保育を続け、お母さんの学習会を重ねていく中で毎日の子どもたちの保育・療育の場が欲しいという切実な願いとその願いに共感し、お母さんを一人にしないという関係者の思いが重なり生まれました。当時、早期発見後の対応の場があまりにも少なく「ないものは自分たちでつくろう」とスタートしてこじか園ができてきました。その頃の運営は無認可だったので、保護者や関係者のバザーや古紙回収などで資金づくりをしていました。関係者・保護者の願いで認可施設への運動が始まり、無認可時代を12年間過ごし、やっと1997年に認可施設、「こじか園」が今の和歌山市上黒谷の地に開園しました。

こじか園が無認可の時1993年に心身障害児簡易通園事業として和歌山市から委託を受け、乳幼児健診でフォローされた子どもが親子で週1回通ってきていた事業が、こじか園認可後も、ひとりぼっちのお母さんをつくらないためにも、この事業を続けていこうということで「こじか親子教室」としてスタートしました。和歌山市の乳幼児健診(10カ月、1歳半、3歳半)が充実し、フォローされる子どもが増え、こじか親子教室を利用する親子が年々増えてきました。就園先を考えるのに保育所や幼稚園ではなく、毎日の療育の場を希望しても定員があるため、入園できない子どもが毎年増え、保護者が子どもにとって「適切な集団」としての就園先をいろいろ悩み葛藤し、やっとの思いで決めても入れず、就園先が決まらずどこにも行けず、もう一年親子教室に残る子どももいました。もうひとつ毎日の療育施設が欲しいという思いが、保護者・職員・関係者の中で強くなり、たくさんのご支援・ご協力してくださる方々のおかげで和歌山市田尻に児童発達支援センター「第二こじか園」が2012年にできました。

今年度こじか園は31名、第二こじか園は24名の子どもたちが毎日元気に通ってきています。こじか園、第二こじか園では毎日の生活を大切に子どもたちが豊かに育ってほしいと願って保育をしています。「ゆっくり・じっくり・たっぷり・ていねいに」子どもたちに関わり、子どもは集団生活の中でお友達と一緒に楽しい経験を積み重ね、主体的に、子ども自らやりたい気持ちが育ち、やってみて達成感を感じ、人としての土台が太くがっちりしたものになってほしいと思って、毎日保育をしています。また保護者も同じ思いの保護者に出会い、仲間ができることで子育てが前向きになります。そして「自慢の我が子」のステキな所を見つけて、子育てを楽しんでほしいと思っています。こじか園ができた頃とは違い今は早期療育の場も増えてきました。和歌山市に生まれた子どもたちがみんな豊かに育ってほしいと願っています。