ほっとけやん 第131話
わかやま新報2018年4月5日掲載
「つな文」でつながる みんなの心
文化祭実行委員会事務局長 中畔好英
「障害児者家族のつながりを広める文化祭」(以下つな文)が、3月4日に和歌山県立体育館(和歌山市中之島)で開かれました。「障害者の住みやすい社会は、どの人にも住みやすく、優しい町である」という地域作りをコンセプトに回を重ね、今回で41回目となります。ことしのテーマは「つなげようみんなの心 はぐくもうみんなの絆」です。特別支援学校や作業所、親の会など約30団体で実行委員会をつくり、さまざまな催しを企画し、各団体が力をあわせて準備を進めてきました。
第1回のつな文が開催されたのは1976年11月。場所は和歌山城近くの児童女性会館(現在は休館中)でした。当時は養護学校が義務化されておらず、就学前の通園施設や卒業生の進路も大変厳しい中、就労先としての共同作業所づくりが始まった時期でした。「障害者・家族が主人公として参加できる祭りを」と、多くの人が手弁当で参加し、当日は超満員で大成功を収めました。翌年から会場を和歌山県立体育館に移し、現在に至っています。
つながり文化祭当日、そこで出会った一人の男の子が「身近な地域にどのような歴史や伝統・文化があるか」を学習する中で、つな文を知ることができたと教えてくれました。「人が文化をつくり、文化を継承し発展させるのも人である」という言葉もあるように、地域につな文の伝統・文化が継承されているのは、第1回目からつな文を大切に守り、伝えていきたいという人々の思いや願いがあったからということを深く感じました。その人々の思いを受け継いで、交流の輪が広がり、仲間との絆が深まる、そんな催しを目指しています。
当日の様子を紹介します。ステージでは、特別支援学校や作業所の仲間たちによる歌、ダンス、和太鼓、バンド演奏の発表があり、会場は大盛り上がり。パネルには児童生徒や作業所の仲間の様々な作品が展示され、福引きコーナーには毎回長い列ができています。遊びコーナーでは子どもたちの楽しそうな声が響き、自主製品の販売では、小物や木工製品、パン、お菓子など、思いのこもった製品がたくさん並んでいます。補助体育館でもバザーとマッサージコーナーがあり、人気を集めていました。体育館外の模擬店もおいしいお店が並び、いつも大盛況です。他にも、福祉や教育、医療、法律などの専門家による相談や、点字体験など盛りだくさん。ステージ発表の後は、交流イベントや合唱など最後まで盛り上がります。
「参加の方法は人それぞれ」つながり文化祭のもう一つのコンセプトです。例年多くの一般及び学生、盲、ろう、特別支援学校の生徒達がボランティアとして参加し、協力し合い、つな文を盛り上げてくれます。学校を卒業後、ここに来れば仲間に会えると同窓会のような思いを持って来られる方もいます。「つな文」は誰でも参加できます。まずは県立体育館に足を運んで頂いて、見て聞いて、食べて遊んで、思いっきり楽しんで下さい!