ほっとけやん 第139話
わかやま新報2018年12月6日掲載
麦の郷『ゆめ・やりたいこと実現センター』スタート!
ゆめ・やりたいこと実現センター 藤本 綾子
麦の郷は、文部科学省が本年度立ち上げた障害のある人の生涯学習に取り組むための事業「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」を受託し、『ゆめ・やりたいこと実現センター』を8月にスタートさせました。
「生涯学習」という言葉はよく耳にしますが、辞書では「生涯学習とはそれぞれの自由な意思に基づいて、それぞれに合った方法で生涯にわたって学習していくこと」とありました。地域では生涯学習の機会は多くあるものの、障害のある人は生涯学習の機会が少ないという現状があります。とは言え、和歌山には青年・成人期の人たちが自主的に集まり、活動できる場を長年手弁当で続けこられている組織があります。これらのすでに活動をされている組織だけでなく、今まで生涯学習に関わりのなかったところとも一緒に、この事業を通じて障害のある人の活動の場を広げていくことが大きな役割ではないかと考えています。
衣・食・住と働くことが保障されて「安心して地域で生きる」ことが大切であることは言うまでもありません。しかし、それだけではなく「安心して地域で活きる」ために学びや役割や活動が保障されていることも重要だと考えています。
10月からは毎週水曜日に「夕刻のたまり場」を開設し、作業所などでの仕事の後にゆっくりできる場をスタートさせました。このたまり場には、知的障害のある人、精神障害のある人、発達障害のある人、ひきこもりの人など毎週10名ほどの人たちが来所し、話をしたりボードゲームを楽しむとともに、夕食を作ってみんなで食べるなど、安心できる居場所になっています。
また、みんなで学びみんなで楽しむために、さまざまな講座も開催しています。すでに、食育講座、防災グッズ作り、書道でアート、ゆる体操、登山などの講座を行い、今後もちぎり絵講座、クリスマスリース作り、ヨガ講座、映画会、マヤ文明の謎を探る講座、マラソン講座など多彩な講座を計画しています。これらの講座は、生涯学習の活動をしている皆さんと連携協議会で話し合い、障害のある人の「こんなことしたい」とか「あんなこと勉強したい」などの思いをもとに一緒に計画し開催しています。
これからも、〝支援する・される〟という関係ではなく〝一緒に〟という姿勢で障害のある人を真ん中に、多くの人たちと共に活動を創っていけることを楽しみにしています。そして、障害のある人だけではなく、周りの多くの人たちの「ゆめ・やりたいこと」も一緒に実現していける場になることを願っています。