ほっとけやん 第142話
わかやま新報2019年3月7日掲載
障害児者の一生思い知り、前を向いて
みんなの願いを語る会 事務局 田中 理恵
那賀圏域では毎年障害者週間に、広がれネットワークというイベントを開催しています。障害者週間とは、2004年6月の障害者基本法の改正により、「国際障害者デー」の12月3日から「障害者の日」である12月9日までの1週間について設定されました。国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的としています。今回で18弾となる広がれネットワークのイベントの一つで、12月7日に、第2回「みんなの願いを語る会」が行われました。
みんなの願いを語る会は、12月9日『障害者の日』は、障害のある子どもたちが主人公になる日だと考え、“何かしたい”と保護者が中心となり障害児者に関わる人たちが集まり、話をすることから始められました。ホッとできる場所づくりと障害児者に関する願いや思いを語り合ってきました。私はこの会を大切にしたいという思いから、先輩保護者の方々から引き継がせていただきました。
今回は、はじめに障害者が働くということをきのかわ作業所の取り組みと制度にふれながら教えていただきました。さまざまな年齢、障害のある子どもの保護者の参加のため、就労はまだ先だと感じる保護者も居ましたが、実際働いている様子を知ることができました。制度も移り変わってきており、まだ変わっていくかもしれませんが、保護者の声を伝えることも大切だということを教えていただきました。交流会では、働いている子どもの保護者の参加もあり、就労や子育ての悩み、体験談、今後について話をしました。いろいろな世代の方が集まり話をする機会はなく、貴重な時間でした。
私は高校生の娘がいます。娘はダウン症です。生まれつき心臓病があり、入院や手術を行いました。娘がダウン症だと分かった時、つらかったです。これまでいろいろと悩みながら子育てしてきました。今となっては元気で明るい娘が、かけがえのない存在となっています。ただ将来には不安があります。これまで親として子どもの成長のために何が必要で、何をすべきか考え、選択してきました。親は現在と未来を見つめて考えています。子どもの一生を考えているのです。障害児者に関わる各分野の支援者の人たちが考えて関わってくださっているのは分かっています。ただ、一生をトータル的に捉えて、チームとなって関わっていただけるような社会に、地域になり、その中で生きていけるようになれば、少しは未来に対する不安が軽減されるのではないかと思います。
「みんなの願いを語る会」は、障害のある子どもたちのことを考えるさまざまな人が集まる会です。さまざまな人の思いを知ってほしいと思っています。そして語り合うことで、また前を向いてわが子に関わっていけるようになっていけたらと思います。
今後も少しずつ『わ』が広がり、ネットワークを形成していければいいと思い、「みんなの願いを語る会」を続けていきたいと思います。