ほっとけやん 第147話

わかやま新報2019年8月1日掲載

わがらカフェ

和歌山高齢者生活協同組合 専務理事 内田嘉高

介護保険制度実施前の1999年11月、病院や施設ではなく、家庭的な居場所や住まいをつくろうと「宅老所・グループホームづくりをすすめる連絡会」を麦の郷と高齢協で設立しました。在宅医療を20年前から行っていた坂口健太郎医師から、「協力するでー」と打田町上野に土地付き家屋を格安でお借りしました。小さくてもいろんなことができて誰もが楽しめる場所にしたいと「和我楽の家(わがらのいえ)」と名付けました。

施設で長く勤めてきた方お2人が、ボランティアで関わりたいと、名乗りを上げてくれました。流れ作業的な介護に、違和感を感じておられたのだと思います。制度によらない任意事業として週2回のサロン活動が始まりました。まだまだ「介護のお世話になりたくない」という時代。情報やサービスも限られた中で、和我楽の家での交流のひとときは、かけがえのないものでした。健太郎先生も定期的に、話題提供を続けてくれました。しかし約10年後、お世話役の高齢化に伴い、残念ながら締めることになりました。併設の訪問介護事業所が残りましたが、こちらも平成30年に閉鎖となりました。

寂しく残る建物に、復活の機会が訪れました。紀の川市からの、つどいの場事業の打診です。「認知症や閉じこもりの予防」「仲間づくり」の輪を広げる事業。おりしも高齢協は20周年を迎える年。原点に返り、培った経験を生かして、もう一度やってみようと決意。ケアセンターおたっしゃ倶楽部の職員も協力的です。

やるからには個性を打ち出そうと「(可能な限り)土曜日開催」「先進的プログラム」を目標にしました。土曜日開催は、自力運転ができなくなっても、子や孫が送迎して一緒に参加しやすい曜日。先進プログラムは、もしバナゲーム(人生の最終段階の医療、ケアについて話し合う)や、認知症の方の仕事づくりの話題など。うたごえ喫茶には、小倉地域で評判のMC&演奏3人組「さくらもち」。腹話術や脳トレで医療生協でご活躍の神谷夫妻、もちろん坂口先生にもお話しいただきました。秋には運動会は無理でも、シニアエクササイズと焼き芋会を屋外でやろうなどと計画中。最ベテランの介護スタッフがいますから、ご安心ください。

わがらカフェは、月1回開催中。年齢不問。TEL073・488・1180(ウチダ)またはホームページで。