ほっとけやん 第148話

わかやま新報2019年8月29日掲載

麦の郷と福祉の学び

社会福祉法人一麦会 理事長 山本耕平

私たち麦の郷には、麦の郷障害者地域リハビリテーション研究所があります。この研究所は、障害のある人(子どもから高齢者まで全ての人)が幸せに生きることができる社会を求め、さまざまな活動をしています。

今年度より研究所では、麦の郷福祉大学を開催することにしました。これは、社会福祉について市民の皆さまが学ぶことができる機会をつくりたいとの思いから始まったものです。私たち麦の郷は、制度がない中でも必要な実践を行い、当事者や家族と共に運動を展開し、制度を作り上げてきました。しかし今、その制度や政策が、激しく削減されているのです。その中で、人々が安心して暮らすことができる社会を、一人一人生きる権利を保障される社会を、築き上げる力を持つ人が必要であると考え、麦の郷福祉大学を計画しました。

7月27日に、麦の郷福祉大学の開講式と第1回講義がありました。第1回目の講師の立命館大学産業社会学部特任教授の石倉康次先生のお話は、まさに、福祉は与えられるものではなく、自分たちの力で築き上げるものであることを認識できるものでした。先生は、社会福祉は一人一人が幸福を追求する権利を保障することであると、憲法13条の規定の素晴らしさについて話され、自民党政権の憲法改正案をみると、この憲法13条の改悪が認められると指摘されました。

この第1回目の講義には、福祉職の方や行政の方、市会議員の方等、さまざまな方が参加されています。

今年度は、社会福祉の基礎的な知識について学びたいと考えています。今後、計画している今年度の学びは、年金や社会保障について(第2回9月28日)、手作りの福祉をつくり上げる力について(10月19日)、麦の郷の歩み(11月23日)についてです。この麦の郷福祉大学は、今後年4回ずつ開講します。来年度(2020年度)は障害者福祉、女性の福祉、若者の福祉、障害者福祉の研究者を迎え、それぞれの福祉の課題と必要な制度や政策、さらに実践についてのお話を計画しています。また、今後の計画については、参加者の皆さまの要求をお聞きしつつ立案してまいります。

この麦の郷福祉大学は、どなたでも、いつからでも参加できます。第1回目の講座を受講された方からは「来年度もぜひ受講したい」との感想が寄せられています。今、和歌山の福祉を充実させるためには、あなたの力が必要です。ぜひとも、一緒に社会福祉の学びを深めませんか。