ほっとけやん 第150話
わかやま新報2019年10月24日掲載
学び学べる機会が更なる前進を!
麦の郷教育研修委員長 鈴木 栄作
昨今、高齢者や障害者福祉の現場では人材不足、次世代を担う人材の育成に悩まされている法人が多くなってきています。私たち麦の郷でも例外ではなく、福祉の現場を担う人材の確保、法人の理念に基づき責任を持って支援に携われる人材の育成が、緊迫した課題であり、試行錯誤しながらその課題に向けて取り組んでいます。
麦の郷は、「日々学び、育み、発信し続ける人材を育成し、地域福祉の発展をめざす」、「ものづくりを通して障害のある人と地域の共存を実現し、互いに豊かになる実践を目指す」、「社会的不利な状態でおかれている人々の課題解決をするために、広範な人々とつながりを深め、ともに社会変革をめざす」、「全ての人が平和で安心して暮らせる社会づくりのために人の輪を紡いでいく」の4つの理念を掲げています。また、『笑顔と元気』むぎの郷プランと称し、中長期目標を理念に基づき法人全体や事業所ごとに計画の見直しを図っています。5年ごとにプランの策定を行っており、昨年度、第4期目のプラン2022を策定し、法人内の職員研修会で私たちの実践の方向性を確認し合いました。
麦の郷教育研修委員会は、4つの理念とむぎの郷プランに基づき、職員の実践力量が高め合える研修を企画しています。企画としては、新人職員研修会、実践検討会、全職員研修会などの開催、麦の郷障害者地域リハビリテーション研究所との共催で管理職研修や中堅職員の研修も開催しています。それぞれの企画への対象職員は異なりますが、学び学べる機会を保障していくことが大切なことだと考えています。また、事業所ごとでは県内、県外、海外と必要に応じて専門性を高める学ぶ機会に積極的に参加しています。
さらに、麦の郷障害者地域リハビリテーション研究所では、本年度から麦の郷福祉大学と称し、市民の方と共に学ぶ福祉講座が7月から年4回開催されます。職員が市民の方と学び合える新たな機会が生まれました。
障害者福祉の現場は、公費の抑制や市場競争原理が持ち込まれ、”福祉”が形骸化されつつありますが、だからこそ、職員が学び成長できる環境づくりが必要だと考えます。障害があろうがなかろうが豊かに暮らせる”福祉”の追求と、私たちの理念がぶれない、諦めない運動や実践を更に前進されることが問われています。そのことが、新たな人材の確保と次世代を担う人材の育成に大きくつながっていくと思います。