ほっとけやん 第152話

わかやま新報2019年12月19日掲載

「働こう障害者も 働けるんだ わたしたちも」

きょうされん第43回全国大会in和歌山 大会事務局長 鈴木 三喜

 障害者が働くことは、今でも当たり前という状況ではありません。それでも和歌山の地に障害者が働く場、共同作業所が生まれた四十数年前と比べると、雲泥の差があります。例えば、従業員50人以上の事業所では障害者を1人雇用することが義務付けられています。また各地に作業所がつくられ、福祉的な就労(作業所での就労)が広がっています。

 こうした状況は「生まれ育った地域で暮らしたい、働きたい」という障害者とその家族、支援する市民の切実な願いが国や社会を動かし、実現してきた結果です。

 初めの頃は「障害者を働かせるなんて!」という声が家族から出されたりしました。ですから作業所をつくる第一歩は、特別支援学校(当時は養護学校)を卒業した青年の家を一軒一軒訪問して、仲間をつくることでした。

 冒頭に掲げた当時のスローガンは、社会へのアピールだけではなく、障害者とその家族へのアピールでもありました。

 また当時は、作業所の運営を補助する制度はありませんでした。そのため、作業所職員や仲間(利用者)とその家族、それに支援者たちは廃品回収などをして、市民の皆さんにアピールしながら、資金づくりをしました。「お金もモノもヒトも皆で持ち寄りながら、作業所を支えてきた」。これが当時の状況でした。

 きょうされん全国大会を田辺で開催!

 こうした作業所づくりの運動の中心になったのが、1977年全国の16ヵ所の共同作業所が呼び掛けて結成された「きょうされん」です。呼び掛けの中には、和歌山市の「たつのこ(現一麦会)」と田辺市の「ふたば」の名もありました。

 きょうされんには現在、就労系事業所(作業所)、グループホーム、相談支援事業所等、障害福祉サービス事業所約1800ヵ所余りが加入し、「あたりまえに働き、えらべるくらしを」というスローガンを掲げて、障害者の権利の保障を求めて活動しています。

 またきょうされんは、来年10月23〜24日の2日間、田辺市スポーツパークで第43回全国大会を開催します。和歌山での開催は今回で4回目となります。前回は和歌山市で、前々回は高野山、その前は白浜でした。いずれも多くの団体、個人の方々から物心両面の支援を頂き、大きく成功させることができました。今回も全国から多くの方が来られます。紀北からは距離がありますが、県内はもとより全国各地の作業所の取り組みにふれてください。また、ボランティアも募集していますので、ご協力をお願いいたします。