ほっとけやん 第163話

わかやま新報2020年11月12日掲載

第36回国民文化祭・わかやま2021              第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会

麦の郷 紀の川生活支援センター 西加奈子

 2021年秋、国民文化祭および全国障害者芸術・文化祭が和歌山県で開催されます。障害のある人もない人も参加でき、交流の輪を広げることができる文化祭です。紀北、紀中、紀南エリアではさまざまな事業を実施する予定ですが、紀北の那賀圏域(紀の川市・岩出市)では障害者交流事業で2020年12月、障害者週間広がれネットワークでキービジュアルを作成します。2㍍×2㍍のパネルに和歌山県PRキャラクターのきいちゃんが印刷されており、参加者にお花紙を貼り付けてもらい、きいちゃんを立体的に作っていきます。紀の川生活支援センターでもレクとしてみんなで参加する予定です。11月末〜12月25日まで紀の川市立図書館入り口で行っているので、ぜひ一度お越しください。

 紀の国わかやま文化祭は職員だけで作っていません。当事者にも実行委員会に入ってもらい、一緒に企画運営を行っています。当事者は「職員と僕たちと一緒に話し合って決めていけるのがうれしい」と話してくれていました。また、ピアサポートの会にあざと共に生きる「フクローバー」という団体があります。その団体のメンバーに実行委員会に入ってもらい、文化祭を一緒に盛り上げていくと同時に「自分たちの活動をもっと発信していこう!」という声が上がり、フクローバーのポスターやパンフレット作り、これまで歩んできた人生を題材にした絵本作りなどに取り組むことになりました。

 ある日、企画内容作成について職員が困っていた時に、地域活動支援センターを利用しているAさんが「こんなん考えてみたんやけど…」と言って紙を見せてくれました。そこには廃材を使ってオブジェを制作するアイデアが載っていたり、SDGsやヘルプマークの内容を取り入れたアート案があったり、独自で考えてくれた内容をたくさん書いてくれていました。

 また、PRポスターを制作するときはBさんが「和歌山の海や山などの自然をイメージしたデザインはどうだろう」と意見を出してくれ、一緒にイラストを描き、絵の具を使ってきれいに塗りました。

今回の活動を通して当事者と職員が「どうやったらみんなで楽しめるかなぁ」と一緒に考えて動いていくことで、それぞれの立場から意見を出し合い、さらに良い文化祭ができあがっていくのではないかと感じました。なにより当事者とワイワイおしゃべりしながら企画を考えられるのがとても楽しいです。日々の忙しさに追われて、機械的に業務をこなしてしまうときがありますが、正直、身が入らないときがあります。当事者と関わり、思いや願いを聞き、対等な立場で話し、一緒に笑い合いながら過ごしていくことが、私たちに求められている支援の在り方ではないかと、この実行委員会を通して再確認できました。

障害のあるなしにかかわらず、誰もが参加できる楽しい文化祭をこれからもみなさんと一緒に作っていきます。