ほっとけやん 第165話
わかやま新報2021年1月14日掲載
人とつながりながら乗り越えていく時
社会福祉法人 きのかわ福祉会障害児者相談・支援センター 神崎佳子
毎年12月3日から9日までは「障害者週間」と障害者基本法に定められています。
「障害者週間」は、2004年6月の障害者基本法の改正により、国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高められることを目的として、従来の「障害者の日」(12月9日)に代わるものとして設定されました。この期間を中心に、国、地方公共団体、関係機関、関係団体などにおいてさまざまな意識啓発に係る取り組みが全国各地で行われています。
那賀圏域(岩出市・紀の川市)におきましても、2002年から那賀圏域の障害者福祉施設・当事者・家族・地域の人たちが集まり障害のある人たちが地域でこころゆたかな生活ができる社会を実現するために障害者権利条約の理念を大切に、「障害者週間 広がれネットワーク」として毎年イベントの開催を行っております。
イベントの一つである、障害のある子どもの家族と関係者が語り合うイベント「みんなの願いを語る会」では、子どもを育てていく中での悩みや不安な気持ち、子どもたちの未来について語る中で、共に励まし合える仲間がいることを確認できる場として年々参加者の輪が広がっています。誰にとっても子どもを育てていくのは大変なことです。支援が必要な子どもを育てている家族にとっては特に、楽しいことつらいことなど本音を吐き出せて共感してもらえる場、困っていることなどについて解決への希望が見えてくる場がもっと必要ではないかとも考えています。
また、障害のある人たちの希望や家族の希望を支援していく側の障害者福祉施設職員、行政職員などの意識変革と実践(支援)も必要なことと考え、これまでに、障害者虐待防止法や各事業所の取り組みについての職員研修などを開催し、参加者それぞれの立場から実践の在り方を振り返る機会(イベント)を開催してきました。
2020年は新型コロナウイルスの流行で、当初「広がれネットワーク」の開催の是非について検討されました。しかし、コロナ禍の中、関係が分断される大変な状況の時にこそ、お互いが励まし合える場が必要であると考え、「第20弾広がれネットワーク」の開催に至りました。イベントの一つである「つながろう研修」では、参加者それぞれの立場から感染症防止策をはじめ、外出自粛、三密回避、行事の縮小・中止、勤務時間の増加、感染症に対する価値観の違いからくるプレッシャーやストレスなどの悩みについて語り合いました。長引くコロナ禍の下、人に対する思いやりと励まし、臨機応変に対応していくことの大事さにも気付かされる研修となりました。
2020年は今まで当たり前であったことが当たり前でなくなった年となり、全世界においても大きな転換期となりました。これからも新しい生活様式の変化に合わせて暮らしていかなければなりません。それでも人と人とのつながりは今までと全く変わることなく、さらにお互いが寄り添い、つながりを深めながら皆でこのコロナ禍を乗り越えていければと願っております。