ほっとけやん 第174話

わかやま新報2021年9月30日掲載

新事業「えびとおはぎ」設立の想い

NPO法人エルシティオ 相談支援センター ソラーナ 相談員 具路 康平

 誰もが自分の居場所を必要としているのではないだろうか。小・中学校の時、学校に行っていなかった私に居場所を創ってくれたのが「プラットホーム」の活動だった。「プラットホーム」とは、和歌山大学の文化系クラブで、不登校の子どもの居場所づくりを行っている。2カ月に1度行う「行事」と呼ばれるイベントに参加していた。そこで、学生と共に過ごす中で、さまざまな経験と新しい人との出会いに恵まれた。

 また、麦の郷紀の川生活支援センターに通っていた時期には、世代の違う人との関わりもあった。私にとっての居場所があり、さまざまな経験のおかげで、後に和歌山大学に進学するきっかけをつくっていただいた。その後、今度は「プラットホーム」の部員として、4年間子どもの居場所づくりの活動をすることができた

 大学卒業後は、人と関わる仕事を中心に経験を重ね、現在、「相談支援センター ソラーナ」で勤務している。ソラーナでは、B型作業所と相談支援を行っており、障害のある人の働く場と居場所づくり、そして、相談支援を行っている。私はソラーナでの経験を通じて、改めて居場所の偉大さを感じた。自分がありのままの自分でいられる居場所が誰にとっても必要である。

 新事業「えびとおはぎ」では、将来的に、対象を絞らない、世代を超えた居場所づくりを行いたいと考えている。学生、障害者、子ども、大人、さまざまな人が互いを尊重しながら居場所づくりを行うことによって、それぞれの経験と出会いにつながればと思っている。そのために、まず初めに取り組むこととして、不登校の子どもの居場所づくりと相談を行おうと考えている。

 居場所があったとしても、料金がかかってしまうため、経済的理由によって居場所の通所を断念せざるを得ないこともある。そこで、経済的な事情で断念してしまうことがないように配慮し、不登校の子どもの居場所の選択肢を増やそうと思っている。また不登校の子どもや家族の相談窓口となり、他の機関と連携し、子ども一人ひとりに寄り添った支援ができるところにしていこうと考えている。不登校の子どもの相談と居場所の拠点の一つとして「えびとおはぎ」が在ることによって、一人でも多くの子どもが安心して日々を過ごせることを目指し、活動を行っていこうと思う。