ほっとけやん 第179話

わかやま新報2022年3月3日掲載

「せいかつはっぴょうかい」

第二こじか園 山本 祥久

 第二こじか園は和歌山市田尻にある福祉型児童発達支援センターで、ことしの3月で開園して10年目を迎えます。当園は発達のゆっくりな3歳児から5歳児の子どもたちが月曜日から金曜日まで毎日通園しています。本年度は27人の〝こじかっこ〟が元気に過ごしています。

 四つの目指す子ども像として、「健康で人間的な生活リズムをもつ子ども」「基本的生活習慣を自分のものとして生活力をしっかりもつ子ども」「意欲的に遊ぶ子ども」「仲間と一緒に遊ぶ子ども」を掲げ、メリハリのある、あたりまえの生活を送っています。子ども自身が「やってみたい!」と思い、取り組む「主体性」を保育の中で大切にしています。

 行事は一年を通して大きく「おともだち式(入園式)」「運動会」「生活発表会」「卒園式」の四つがあります。「運動会」は半年でつけてきた力を保護者や職員で確認する場です。「生活発表会」は毎日の生活やあそび、友だちや保育者との関わりの中で身につけてきた子どもたちの力を、保護者や職員で確認し合う場と考えています。

 今回は、その中の一つの「生活発表会」についてどんなところを大切にしているのかを紹介させていただきます。子どもたちの大好きな「絵本」の内容をおはなしあそびとして構成し、そこに子どもたち一人ひとりが主人公となる「出番」を考え展開しています。子どもたちの中には「絵本」に興味を持ちにくい子どもたちもいます。そこで保育者は毎日の帰りのあつまりの時間に「絵本」を題材にしたペープサートや人形、大型紙芝居などに動きをつけ、音楽をのせた「おはなし」をつくり、それを子どもたちは見ています。毎日慣れ親しんでいく中で、「楽しそう!」「自分でやってみたい!」「やってみたい、けれど一人じゃ恥ずかしいな」など気持ちの揺れを感じながらも、みんなの前に出て出番を楽しむようになっていきます。

 また、毎日するさんぽ。いいもの探しや楽しいあそびを見つけながら保育者や友だちとの関わりを深めています。時には、おはなしに出てくる自分たちが作った動物のペープサートを持って出掛ける日があったり、お面をかぶって遊ぶ日があったり、保育者がさんぽコースの中に”しかけ”を設け、変化のあるおはなしあそびも楽しんでいます。

 保護者にはもちろん、「生活発表会」を見てもらいますが、子どもたちの中には当日は緊張し、保護者が見ていることで、いつもの姿を見せることが難しいことも多々あります。そのため、後日にこれまで取り組んできた様子を映像として見てもらい、様子を伝え、当日だけの姿が子どもたちの全てではなく、それまでの過程が大切であることをお伝えしています。

 ことしの3歳児は絵本『でてこいでてこい』。せいかつ再現あそび(例えば朝のあつまりで保育者が絵本を読んだり手遊びをしたりしている真似を子どもたちがしてあそぶこと)や子どもたち一人ひとりが大きな絵本をめくったり、繰り返し歌い動物の表現をする出番をつくったりしました。4歳児は絵本『てぶくろ』。てぶくろの外と内で「イレテー」「ドウゾー」とやりとりする場面や、最後には犬がやって来て逃げ回る遊びを展開しました。5歳児は絵本『10ぴきのかえるのふゆごもり』。かくれんぼあそびやわらべうたあそびなどをたっぷり楽しみました。

 これまで観客席には、お客さまを迎え、保護者や職員そして全園児でお互い見合うなど、みんなで〝こじかっこ〟の成長を見守っていました。でも、新型コロナウイルスの感染拡大予防のため2年続けて、観客席にはそれぞれのグループの保護者のみとしました。来年度は、新型コロナウイルスの感染予防をしっかり行いながら、みんなで一年の成長を確かめ合う行事が戻っていますようにと願っています。