ほっとけやん 第184話

わかやま新報2022年7月28日掲載

声を形に、素敵な未来へ

ワークショップフラット 施設長 山本 功

 異例に早い梅雨明けから一週間後の7月5日、和歌山県共同作業所連絡会(通称わされん)と和歌山県障害福祉課との懇談会がオンライン形式で開催されました。県内の作業所やグループホーム、相談支援に携わる事業所職員10名が参加し、県障害福祉課より5名の方に参加していただきました。

 この懇談会は、わされんが結成した1978年からおこなわれています。わされんは、〝働こう障碍者も〟〝働けるんだ僕たちも〟を合言葉とし、障碍者が働く無認可共同作業所が集まり結成しました。当時、重度の障碍者が社会にでて働くということは、誰も考えもしなかったことでした。家族や隣人とのつながりを深め、社会で仕事をし、そして将来への希望を持つこと。これらは人が生きていくため、なくてはならないものに思います。障碍があっても仕事をする!という考え方は、そんな社会に対してのアンチテーゼだったのではないでしょうか。そんな中から和歌山県との懇談会は、〝対県交渉〟として、スタートしました。

 共同作業所では、彼らが日々過ごす場所として、通所し働き、友達と会話をし、そこでは家族へのサポートもあり…そういった環境がみんなを元気にしていきました。素敵な場所ができましたが、活動場所の家賃や、スタッフへのお給料が払えないという問題、運営維持のため〝小規模作業所(無認可共同作業所)への県単独補助金〟の要請、引き上げをメインとした対県交渉が始まりました。

 当初、こういった要望は受け入れてもらえず、〝君たちは好きでボランティアで障碍者と関わっているのだから、要望は受け入れられない〟と、言われていました。そんな時代を経て、無認可共同作業所も、国の法律で定められた事業へと移行しましたが、〝障碍者が地域で豊かに生きる〟を今の制度で十分に守ることはできていません。

 2022年の、県との懇談会では、わされん県下72会員の声を①新型コロナウイルスに関して ②就労支援 ③精神障碍者支援 ④児童分野 ⑤相談支援 ⑥生活・グループホーム ⑦運営、経営、人材という七つの分野にまとめて要望書を提出しました。

 回答は、事前に文書で受け取っていたので、それを見た上で、更に要望を絞り込んで懇談しました。県担当者は、回答書を作成する段階から、とても真摯に対応してくれましたが、要望内容のほとんどが国の制度のことなので、考え辛かったと思います。回答の多くは、今後、近畿府県主管課長会議にて国に要望していくという内容となりました。わされんとしては、県としての単独補助制度の創設など頑張って欲しいと思いましたが、現実は非常に厳しい状況のようです。そんな中でも、「令和6年度報酬改定は大きく変わる、いろいろな団体ともプロジェクトチームをつくり意見を国に伝えていくので、その一員として一緒に考えていきたい」ということを伝えてくれました。

今、私たちの取り巻く環境は、新型コロナウイルス、大規模災害、更には戦争の影響など障碍者にとって不穏な出来事が溢れています。

だからこそ、つながりと支え合いのある街へとなるよう臆することなく、市町村、県、国に対して、みんなで力を合わせて声を届けていくことはひとりひとりの責務であると思います。