ほっとけやん 第195話
わかやま新報2023年6月15日掲載
テーマ:「らしく、はたらく、ともに」
和歌山障害者職業センター 川瀬 雅嗣
和歌山障害者職業センター(以下「職業センター」という)では、障害者職業カウンセラーなどが、ハローワーク、障害者就業・生活支援センターとの密接な連携のもと、就職や職場定着、職場復帰を目指す障害のある方、障害者雇用を検討しているあるいは雇用している企業の方、障害のある方の就労を支援する関係機関の方に対して、障害者の就労に関する支援・サービスを行っています。
今回は、職場定着に向けた支援である、「ジョブコーチ支援」についてご紹介します。ジョブコーチ支援では、障害のある方、受け入れる企業担当者双方の希望や不安・悩みに対して、ジョブコーチが職場へ計画的に訪問し、対応方法の相談やアドバイスを行っています。
ジョブコーチ支援において大切なことが三つあります。まず一つ目に、丁寧な情報収集を行うことです。障害のある方からは、これまでの職歴や働き方の希望、就職にあたって不安に感じていること(職場になじめるか、仕事が覚えられるか、場面に応じたコミュニケーションが苦手)などを伺います。一方、企業の方からは、障害者雇用に携わった経験や、採用にあたって不安に感じていること(どのように仕事を教えたらいいか、どのような配慮したらいいか)や障害のある方に対する期待などを伺います。
二つ目に、仕事や職場に慣れていくために、実際に仕事をされている様子や、情報収集した内容を踏まえて、実施する支援内容を検討することです。
例えば、ミスを少なくしたいという思いに対して、指示通りに正確に作業するためのポイントやこつをお伝えしたり、手順書やチェックリストなどの作成や活用についてアドバイスを行います。体調管理について、休憩の取り方(タイミング・方法・場所)や、生活記録表の活用方法、安定した勤務に向けたアドバイスを行います。コミュニケーション面では、会社から求められる報告・連絡・相談を定型化(伝えるタイミングや文言を決めておく)する、伝える練習をする、などの支援を行います。
三つ目に、関係者が共に、振り返りを行うことです。支援内容に関する振り返り(現状の取り組みを継続することでよいのか、軌道修正が必要ないか、就職時にそれぞれが感じていた不安がどの程度解消されているか、など)を、障害のある方、企業の方の双方に対してジョブコーチが行い、必要な見直しを行いながら、支援を継続します。
紹介した支援内容は一例ですが、職業センターが目指す「らしく、はたらく、ともに」の実現に向けては、障害のある方、企業の方、家族、支援機関の方、職業センターが一体となって課題改善に取り組むことが重要であると考えています。今後も、一人ひとりにあった「はたらく」が実現できるよう、支援を行っていきたいと思います。