ほっとけやん 第206話

わかやま新報2024年5月2日掲載

『~連携、広がる~ ゼロエンマーケットin紀の川市』

ゼロエンマーケットin紀の川市運営委員会 中嶋悦子

 “ゼロエンマーケットin紀の川市”は、在住外国人が地域でより良い暮らしを送れるよう、必要な情報提供の機会となることを目的に2022年9月に第一回目を開催しました。そもそも、ゼロエンマーケットはすでに他の地域で存在したフリーマーケットのスタイルでしたが、私たちはこれを呼び水に、情報提供に加えて参加者同士が交流できるような場、リラックスして過ごせる場をつくることを大切にしています。これまで旧打田町、粉河町、貴志川町で4回実施し、延べ約400人が参加してくださいました。

 イベントを創り上げているのは、この活動の目的に賛同した有志で作った団体―ゼロエンマーケットin紀の川市運営委員会のメンバーと、その開催回毎に連携する企業や団体、そして、それを支えてくださっている行政職員の皆さんです。

 多文化共生の活動というと“国際”に造詣の深い人、語学力に長けた人が関わっているイメージが強いかもしれませんが、私たちは“同じ地域に住む住民”という立場で活動しているため“国際”の枠を超えた連携が進んでいると感じます。例えば、社会福祉法人一麦会との連携もその一つです。2023年5月に開催した第三回では同法人と共催し、粉河町にある古民家山﨑邸を会場にゼロエンマーケットを開催しました。麦の郷 紀の川生活支援センターの利用者が主催スタッフ側に立って来場する外国人や地域の人と交流されている姿を見たとき、出自や障害の有無に関係なく新しい出会いが生まれることをうれしく思うとともに、“包摂された社会”のあるべき姿を見た気がしました。また、同時に「多文化共生」の“多文化”は民族間の文化の違いだけではなく、同じ地域に住んでいても所属するコミュニティーや世代によって異なる文化、そのそれぞれの違いも理解し認め合うことだと、この言葉の意味を広く捉え直すきっかけになりました。

 同様にこれまで連携させていただいたのは、第二回の古和田会館さん、第三回からは地域日本語教室である多文化オアシス☆にほんごおしゃべり会さん、第四回からは那賀薬剤師会さん他、文字制限上、すべてのお名前を書ききれないほど、多くの方々のご協力をいただいています。次回、第五回では、日本赤十字社和歌山県支部さんや和歌山大学災害ボランティアステーションさんとの連携も予定しています。次は旧那賀町にある体育館を会場に通常の企画に加え、スポーツを通じた交流とケガや災害への備えについてのミニ講座もあります。だれもが一緒に競えるボッチャ、子どもに大人気のドッジボール、中国の羽根蹴り“ジェンズ”などみんなで楽しみながら交流しませんか。すべての人に開かれたゼロエンマーケットを通じて、一つでも多くのいい品物を持ち帰っていただくとともに、それ以上に、ひとりでも多くの信頼できる地域の友人・知人をつくるきっかけになったらうれしいです。

 【次回】日時:2024年5月12日(日)午前10時半~午後3時
     場所:紀の川市 那賀体育館(紀の川市名手西野114番地1)
     持ち物:上履きと下靴入れ