ほっとけやん 第214話
わかやま新報2025年1月9日掲載
わっくるカタログ 作成への思い
一般社団法人和歌山県セルプセンター 専務理事 宮本久美子
ミニトマトだけのジュース、天日干しのおかき、米粉のクッキー。おいしい商品がずらりと並ぶカタログ。それは、「わっくるカタログ」といいます。今回のカタログには、和歌山県、奈良県にある障害者の就労支援事業所の商品、農産物38点と紀伊半島選りすぐりの生産者の商品、農産物22点を掲載しています。
発刊するのは、一般社団法人和歌山県セルプセンター。2014年に法人を設立、県内の障害者の就労支援事業所49会員で組織されています。セルプとは、なじみのない言葉ですが、「SELP」と表記し、英語のSelf-Help(セルフ、ヘルプ=自助・自立)からの造語です。Support(支援)、Employment(就労)、Living(生活)、Participation(社会参加)の頭文字をとっています。
私たちは、障害がある人の自立と社会参加を促進し、ディーセントワーク(働きがいがある人間らしい仕事)を実現することで、障害のある人の豊かな生活を応援することを理念としています。
わっくるカタログの発刊のきっかけは、障害のある人たちの作る商品がとてもいい商品だと、食品業界において長年世界各地で商品の買い付けや、産地を見学した食のプロが太鼓判を押してくれたことです。例えば、ミニトマトだけのジュースは、「味も良く、大変希少な商品である」という評価を受け、それまでは単にミニトマトジュースと認識していたことが、目から鱗。大阪の老舗百貨店のお中元プレミアムカタログに掲載され、1カ月半で12本入りの箱が150箱、50万円を売り上げ、自慢の商品となりました。次に「てんて焼」という、天日で干しては取り入れ、干しては取り入れて乾燥した後に焼いた、もち米のおかきです。「こんなサクッとした食感のおかきは珍しい。一枚一枚天日に干す面倒な作業が、この食感につながっている」と先の食のプロ。「てんて焼」のネーミングとパッケージをリニューアルして販売すると次第に販路が広がり、今では1カ月待ちの商品に成長し、11月には、大阪のこれも老舗百貨店の催事で、5日間で97袋を販売しました。
カタログの編集者は、千葉智史さん。食品専門の商品カタログの編集経験をもち、那智勝浦町色川で「らくだ舎」というカフェと本屋を営む千葉さん。読み物としても秀逸な出来栄えです。原材料へのこだわり、生産工程へのこだわりや苦心、なにより、障害のある人たちの働きぶりや働きがいが伝わります。紀の川市で写真スタジオを開いている森勇樹さんの、センスの良い鮮やかな商品写真もおいしそうですてきです。
わっくるカタログで障害のある人たちの商品を世界中に自慢したい。皆さん、ぜひ、お手に取って、ページをめくってください。和歌山のええもんがた<さんありますよ。
【カタログについてのお問い合わせは、一般社団法人和歌山県セルプセンター(TEL073-499-6142) まで】
