ほっとけやん 第220話

わかやま新報2025年7月3日掲載

みんなが願った安心、安全な作業場

就労継続支援B型事業所 叶夢向(かなた) 管理者  田村知己

 当事業所は社会福祉法人一麦会(麦の郷)内でクリーニングに次いで二番目に古い歴史のある事業、ウエスの製造販売を行っております。ウエスとは、わかりやすく言えば使い捨て雑巾で、印刷会社、自動車整備工場、塗装会社等で拭き取り作業に使用されています。一麦会の認可によって誕生したむぎ共同作業所、くろしお作業所第二分場め組、そして2018年より現在の叶夢向として活動しております。むぎ共同作業所の頃は法人内の建物の一角で作業していましたが、スペース等の問題もあり近隣の倉庫を借りて移転し事業を拡大、安定させていきましたが、県の指導監査において倉庫が活動拠点となっているので改善するよう指導を受けました。当時の障害者自立支援法への移行のタイミングで和歌山市出島の物件を借り、くろしお作業所第二分場め組として、なかまも事業内容もそのままで活動していましたが、トイレが一階は二階、相談室は三階にあり、当初は問題なく過ごせていました。しかし、階段が思った以上に長く、一段一段が少し高いため、高齢化してきたなかま、歩行が少し難しいなかまにとって階段の上り下りに支障が出てきました。働くみんなの安心安全な作業場の確保のため、法人本部と協力して和歌山市岩橋にあったスーパーの跡地に二階建ての建物を新築し移転しました。

 新しい建物は、一階二階の総床面積は出島の建物の倍以上になり、すべてにおいて動きやすく効率化につながっております。内装には紀州木材を使用し、床、階段がすべて木目調で統一しており、いまのところ木材のいい香りがしております。また3人乗りのエレベーターを設置し、トイレも都合で五ヶ所あり、そのうちの一ヶ所は便等をその場で洗い流せるシャワー付きにしております。出島では一階にしかトイレがなかったのですが、一階に職員用を含む三ヶ所、二階に二ヶ所あるため階段を苦にしていたなかまが安心してしていける造りになっており、休憩時間のトイレの順番待ちも解消されました。食堂においては、以前は職員となかま全員が同時に食べるのが不可能なスペースでしたが、これも解消できました。また、なかまのご家族さんからのご厚意でいただいた寄付で、食堂のテーブルと椅子を購入しました。職員となかまの全員が使える何かを購入し活用させていだこうと思い、職員間で検討し家族さんに相談したところ、快諾を得たことによって購入し活用させていただいております。

 最後に、今回の場所は近隣に民家や事業所が多く、地域交流が深めていけそうな場所でもあるため、麦の郷のスローガンの一つである「支えられそして支えるまちづくり」に基づいた日々の活動を行っていきたいと思います。また、職員、なかま全員が毎日つねに笑顔の出せる事業所であるためにも、充実した日々の活動を大切にしていきたいと思います。