「ここは和歌山の誇り」

わかやま新報2009年6月28日掲載

仁坂知事が麦の郷を初訪問

和歌山市岩橋の障害者総合リハビリテーション施設「麦の郷」を26日、仁坂吉伸知事が初めて訪問した。精神障害者が地域で暮らし働けるよう、それぞれの立場で支援しているボランティアなど20人と懇談し、障害者が働くクリーニング部を見学した。
懇談には、普段から麦の郷を応援している西和佐地区や山口地区の自治会関係者、麦の郷をモデルにした映画「ふるさとをください」の関係者、麦の郷を支える会副会長で今回の知事訪問を橋渡した門三佐博県議などが出席。
障害当事者で、同じ障害がある人のカウンセラーをしている寺脇弘隆さんは、「麦の郷があるからこうやって地域で暮らしていられるが、自殺したり一家心中する仲間のいる。理解し支援してくれる場所をたくさん作ってもらいたい」と、伊藤静美理事は「ここの手法を発信し普遍化してください」と要望した。
仁坂知事は、28人の障害者が働くクリーニングの現場も見学し、田村知己施設長の説明を受けながら病院用枕カバーのアイロンがけにも挑戦。和歌山は以前、精神科病棟への入院日数が一番長いワーストワンの県だったこと、そういった障害者を“ほっとけやん”と少しずつ環境を整えてきたことなど、麦の郷の歴史についての説明も受けた。
仁坂知事は、「ずっと来たかった。ここは和歌山の誇りです。“ほっといたらあかん”という気持ちでやらなければ。さらに勉強し、この立派な活動を助ける知恵を出し、全国に発信しなければ」と話した。