障害者支援息長く

朝日新聞2009年9月24日掲載

何がどう変わる?鳩山政権誕生

鳩山政権は、障害者にサービス利用料の1割負担を求める障害者自立支援法を廃止する方針です。 障害は誰にでも起こりうるのに「お前の責任だ、1割負担しろ」というのが自立支援法。従来の福祉の在り方を百八十度変えてしまった。日本は福祉政策の予算が少なく、障害者は全体的に貧しい状態に置かれている。自立支援法の前の応能負担(所得に応じた負担)でさえ厳しい人ばかりだ。理想は無償だが、まずは元の制度に戻すしかないのかな、という感じだ。

―どんな福祉政策が求められますか。

障害者が成人したら、親元を離れて地域で独立した生活を送れる環境を作ることが大事だ。これまでは親が障害児の子育てに過大な責任を背負い、国が負うべき責任の肩代わりをさせられてきた。親も人間として自分自身の人生を送れる社会にしてほしい。
新しい法律では、高次脳障害などの中途障害や軽度発達障害、ひきこもりの人にも、必要に応じた支援が求められている。支援学校に通っている間だけでなく、幼児期における障害の早期発見など一生を通じた支援も大事だ。

―福祉の仕事に携わる人の労働条件については。

職員の離職率がものすごく高い。「福祉のワーキングプア」のような人がたくさんいる。彼らが働きがいを感じられるようにしてほしい。自立支援法が施行されて、うちの施設全体の収入もかなり減り、若い人をなかなか正職員にしてあげられない。

―鳩山政権には期待できますか。

マニフェストをしっかり実現するように期待している。私たちも、国民の力で政権交代を実現したのだから、声を上げ続けなければならない。昨年10月、障害者ら6500人が国会周辺で自立支援法廃止を求めてデモを行ったように、自分たちの問題は自分たちで訴えて解決に向かわせるのが、これからの時代だ。