「見た目問題」楽に

わかやま新報2009年10月9日掲載

あざ等当事者体験談語る

痣(あざ)ややけどなど「見た目問題」に取り組む、市民団体「痣と共に生きる会 Fuclover」は3日、和歌山市北島のプラザホープで講演会「痣は一生の宝物」を開いた。
血管腫で顔面にあざがある同会の氏家志穂会長(22)と白斑のある野中孝夫副代表がそれぞれのつらかった体験談を紹介。氏家代表は中学時代、あざによるいじめから不登校になり死を決意して夜をさまよううちに、暴走族と知り合い、その時のメンバーがあざのことに触れずに話しかけてきたことが「それぞれいろんな事情を抱えていたから」と述べ、「彼らとの出会いは大きかった」と話した。
野中副代表は、引きこもっていたが中学時代の友人が誘ってくれたキャンプで、「外に出るのが嫌で、伸ばし放題だった髪を切ってくれたことが立ち直りのきっかけになった」といい、二人とも仲間の存在が自分にかけがえのない影響を与えたと述べた。
さらに、あざを隠すか隠さないかの問題に触れ、氏家代表は「私はこの肌で生まれてきたから隠したくない」とメークで隠すことを否定した。一方、野中副代表は「かつてはメークで白斑を隠していた」と告白した。
それを受けて、あざややけどなどの当事者活動の全国ネットワーク化を進めているマイフェイス・マイスタイル代表の外川浩子さん(42)が、「その答えは100人いれば100通り。本人が楽で自分らしいと思えば良い」と発言。「人は着る物などで気分を変えることがある。あざを隠すのもそういう意識」と心を軽くするよう述べた。まだ、あざのある人にとって最も傷つくのは「視線をそらされること」だが、人間は初めて見る物に警戒心を抱く本能があると警告。それを正すためにも、「見た目問題の情報誌が必要だ」と自らが来年春創刊する「My Face」誌を紹介した。
外川さんは、今後の活動として、障害者や見た目の問題についての差別禁止法を作る働きかけをしたいと提言。心の整備も必要だが法的整備も必要として、「そのためにも、多くの仲間が必要」と呼びかけた。