介護の"すき間"が課題

和歌山新報2010年11月9日掲載

一麦会がシンポジウム

社会福祉法人一麦会麦の郷地域生活支援部(北村悦子部長)は7日、和歌山市手平の和歌山ビック愛で「こころ、ひびきあうフェスティバル」を開き、障害者や高齢者などのリハビリテージョン施設、麦の郷の利用者など約200人が訪れた。障害者側と支援する側が参加したシンポジウムでは平成18年に施行された障害者自立支援法により補助金制度などが変わり、障害者施設が経営困難になったことから人材不足の問題などが起こっていることが浮き彫りにされた。
フェスティバルは障害者が地域で安心に暮らすため共通の認識を持とうと開かれたもの。シンポジウムは立命館大学教授の山本耕平さんが座長を務め、元精神病患者や知的障害の男性などがシンポジスト、麦の郷のスタッフ、県障害福祉課の職員などがゲストとして意見を交わした。
知的障害の息子を持つ母親は、「両親の手助けがあってやってきたが、自分たちが共働きなので、デイサービスが受けれない時間帯"すき間"があるのは事実」発言。麦の郷のスタッフも、同法が施行されたことで、施設利用者も自己負担が増加したり、施設の人材確保が困難になったことから「制度に足りない部分があると感じる」と支援する側の意見も述べた。それに対して県の職員は、「皆さんの問題点や意見を聞いて、介護の研修を充実させるなど考えていくしかない」と答えた。
また、精神病院に20年間入院し、現在は結婚して働いている男性は、地域の中で暮らすことに関し「洗濯の時間などルールを守ること、近所の人たちに木を遣うことも大切と思う」とした。さまざまな意見を聞いた山本さんは、「障害者が地域で支えられたいというのは、当然の権利。人材や制度にすき間があるのをどう補うのか、支える人を充実させることが必要では」と呼び掛ける。