日本の成功事例学ぶ

わかやま新報2011年1月21日掲載

パキスタン高官が麦の郷訪問

障害者の社会参加促進を目指すパキスタン連邦政府の行政官など6人が18日、和歌山市岩橋の社会福祉法人一麦会・麦の郷(田中秀樹理事長)を訪れた。国際協力機構(JICA)の委託を受けた日本障害者リハビリテーション協会が実施するプロジェクトの一環。
前日、和歌山市役所と県庁を訪れて行政の施策を学んだ一行は、自助組織育成の成功事例を学ぼうと、麦の郷のクリーニング工場などを見学。働く精神障害者や、仲間をケアしている障害者、災害時の自助・共助組織を同所と共につくりあげた岩瀬防災ネットワークの森繁孝会長らの話を聞いた。
パキスタンでは、障害者が適切なケアや教育、就業機会を得ることはまだ難しく、ケアに従事する人材も不足しているという。同国連邦政府社会福祉・特殊教育省特殊教育局のプリンス・アッバスカーン局長(56)は、「実りの多い訪問でした。皆さんとの交流から得た知識を深め、障害者施策を進めていきたい」と話した。
また、同所で働きながら仲間の相談にも乗っている寺脇直美さんが、「私は麦の郷とかかわって幸せになりました。障害者にも幸せになる権利があると思います。パキスタンにも麦の郷のような施設ができるようにお願いします」と一行に訴えた。