精神保健福祉をつなごう 業務連100回記念シンポ

わかやま新報2013年5月19日掲載

和歌山市精神保健福祉業務担当者連絡会議(業務連)の学習会が100回を迎えたのを記念するシンポジウムが14日、和歌山市吹上の市保健所で開かれた。約100人が参加し、精神保健福祉を支える人々をつないできた業務連の活動の歩み、今後の展望などが話し合われた。
業務連は、精神障害者をめぐる福祉情勢を改善しようと、関係の業務に携わる皆さんにより平成7年に発足。2カ月に1回、学習や議論の機会を重ねてきた。
記念シンポジウムは「つなぐなかま つなぐみらい」をテーマに行われ、シンポジストは、県立こころの医療センター副院長の生駒芳久さん、社会福祉法人一麦会「障害者就業・生活センターつれもて」の加藤直人さん、ピアサポーターの堀本久美子さん。市保健所精神保健福祉相談員の松岡信一郎さんがファシリテーターを務めた。
生駒さんは、治療や支援において障害の当事者を中心に行う重要性を指摘。事例を紹介し、「精神障害者は自己主張ができる人は少ない。だからこそなおさら当事者の意向を尊重しなければならない」と話した。
加藤さんは、業務連の歴史や精神保健福祉をめぐる法制度の変化を振り返り、「当事者がいろいろな生活態度を選べる時代になりつつあるが、精神保健福祉は今も特別な対策が必要な分野。他職種が連携して問題に当たらないといけない」と強調した。
堀本さんは、当事者が当事者を支援するピアサポートの経験を紹介し、「(支援する)スタッフ、当事者それぞれにしかできないことがあり、その橋渡しをしたい。いろいろな人に関わることで、おみやげとして自分も元気になれる」とやりがいを語った。
参加者は、それぞれの立場から発言するシンポジストの話に熱心に聴き入り、支援の仲間を増やし、つなぐ大切さを確認し合った。